企業・経営
10年かけて実現したマツダ最高益。2006年に何を考え、何をしたのか?
会見する子飼雅道社長 photo Getty Images

マツダが24日に発表した2016年3月期の業績見通しは、売上高が前期比7%増の3兆2500億円、本業の儲けを示す営業利益は4%増の2100億円となる。営業利益は3期連続で過去最高を更新する見通し。当期純利益は12%減の1400億円となる見通しだが、3期連続好業績が続いたことで繰り越し欠損金がなくなったため、法人税率が24%から32%になることなどが響いた。配当は3倍の30円に引き上げる予定。

同日発表した2015年3月期決算でも、売上高は13%増の3兆339億円、営業利益は11%増の2029億円、当期純利益は17%増の1588億円で、営業利益、当期純利益ともに2年連続で過去最高を更新した。

1ドル80円台でも収益が出る

マツダの復活の要因は、「商品力向上」に尽きる。世界のお客が欲しいと思うような斬新な車を、低コストで生産できるようになったからである。「モノ造り革新」と呼ばれる新たな手法によって開発した第一弾の「CX-5」以来、「アテンザ」、「アクセラ」、「デミオ」、「CX-3」とヒット車が続いて、いずれも高い評価を得て、販売増につなげている。円安効果も寄与しているが、マツダが採り入れた新たな開発手法では、1ドル=80円台の円高で輸出しても収益が出るという。

メーカーであれば、どの企業も「商品力向上」を目指すのは当たり前だが、実行が難しい。しかも、グローバルにビジネスを展開する自動車会社は、多様な価値観に対応しなければ、車は売れない。それはどういうことかと言うと、同じ車種であっても、国や地域によって嗜好や規制が違うため、設計やデザイン、部品などを変更しなければならない。これが設計部門などの負担となることで収益性が低下する。多品種少量生産に陥り、利益が出にくいということでもある。

しかし、こうした理屈は「作り手」の理論に過ぎない。消費者は、安い車、格好いい車、走りのいい車といった具合に様々な「価値」を求めてきて、それに応えていかなければ車は売れない。一方で、その「価値」に応えようとすれば、コスト増になるリスクもある。

マツダ復活の象徴はCX-3 photo Getty Images

マツダが取り組んだ「モノ造り革新」の狙いは、多様な価値観に対応しながらもコストを抑えた車を開発することにある。ハードの車というよりも、「価値」を作ることに主眼を置いた取り組みとも言える。

そのマツダの「価値」作りが成功した理由を考えてみたい。筆者は2008年ごろからこのマツダの取り組みを取材してきた。本コラムでも何回か断片的に紹介したが、改めて考えてみる。

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