「土日・夜間」の議会改革

『週刊現代』古賀茂明「官々愕々」より

統一地方選挙が全く盛り上がらないまま終わりそうだ。
そんな折、東京都千代田区で偶然もらった「土日・夜間議会改革!」と書かれたパンフレットを見ながら考えた。

本来は、住民に密着した行政サービスについて首長とともにかじ取り役を担う地方議員は、国会議員と同じくらい重要な役割であるはずだ。

しかし、それは単なる建て前。実際には、ほとんどの地方議会は仕事をしていないという。

例えば、地方議会で実際に審議を行う会期日数は、少し古いが、都道府県98日、市区85日、町村44日(総務省資料平成21年度)しかない。休みの日のほうがはるかに多いのである。

首長が提出した議案を4年間で一度も否決・修正したことのない議会は50%、つまり半分の議会は全て丸呑みしている。議員提案の政策条例が一つもない議会は91%、ほとんどの議会が仕事をしていないことになる。さらに、各議員が議案に賛成したか反対したかを公開しない議会が84%もある(いずれも'11年1月の朝日新聞アンケート)。何もしていない議会に住民が関心を持たないのは当然のことだ。

一方、何もしていないのに、町村を除き、なぜか議員報酬は高い。とりわけ、都道府県の平均では、報酬、期末手当、政務活動費、費用弁償諸経費を合わせると議員一人当たり、2000万円を超える(地方議会を変える国民会議調べ)。

仕事をしなくても高報酬となれば、議員であること自体が利権となる。議員であり続けるためには、議会の仕事よりも地元での付き合いと利益誘導に熱心ということになってしまう。

海外先進国と比較すると、日本の異常さがよくわかる。欧米先進国では、市町村議会が週末や夜間に行われることがごく普通になっている。また、先進国では、議員報酬は100万円未満が普通で(米国の大都市だけは例外的に高い)、中には無報酬というところもあるからだ。議員の仕事は、自治会役員の延長のような形で、普通の市民が兼業で議会に参加するという形だ。利権などになりようがない。政治が家業になっている人が多い日本の県議会などとは全く違うのである。

このように、議会を平日昼間ではなく週末や平日夜間開催として、報酬を低く抑えることには多くのメリットがある。

まず、住民が議会を傍聴することが容易になる。議員が家業ではなくなり、利権とならないし、特定グループへの利益誘導も起きにくい。他の職業を持つ人々が容易に議員になれるので、様々な分野で働く人々、一般住民など、非常に幅広い人材が議会に参加できる。その結果、様々な知見が生かされるので、積極的に議案を提案したり、首長の政策を厳しく監視することもできる。

地方議会が仕事をすれば、当然の結果として、住民が関心を持ち、投票率も上がるはずだ。

選挙に行こうなどというスローガンを掲げても、本質的な問題解決にはならない。「政治家は変な人」というイメージを払拭して、地方議会に「まともな人」がたくさん参入してくることが何よりも大事だ。そのために土日・夜間議会開催と報酬削減を突破口にしてはどうだろう。

『週刊現代』2015年5月9・16日号より

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