「普天間基地移設問題」安倍政権のやり方にますます態度を硬化させる沖縄

佐藤優直伝「インテリジェンスの教室」Vol.059 文化放送「くにまるジャパン」発言録より
佐藤優さんが毎月第1・第3・第5金曜日に出演している文化放送「くにまるジャパン」での発言を紹介します。今回は4月17日放送分をお届けします。なお、ラジオでの発言を文字にするにあたり、読みやすいように修正を加えている部分もあります。

伊藤: 安倍総理大臣は今日(4月17日)、沖縄県の翁長(おなが)知事と総理官邸で会談します。去年12月に翁長氏が知事に就任して以来、初めての会談となります。会談は午後1時半から30分間程度の予定で、菅官房長官と沖縄県の安慶田(あげだ)副知事が同席します。

会談で安倍総理は、沖縄県宜野湾市にあるアメリカ軍普天間飛行場の名護市辺野古への移設の必要性を訴えて理解を求めたい考えです。一方、翁長知事は、移設反対の姿勢をあらためて伝える方針です。また、沖縄の基地負担軽減や振興策などをめぐっても意見交換すると見られます。

邦丸: これは、事前にこのニュースをお伝えしていながら、「平行線をたどるものと思われます」というようなことで、恐らくお互いの主張をまずは言う、ということのようですが、佐藤さん、どうですか。

佐藤: まず、これより前に、4月5日に菅さんが沖縄に行って翁長さんと会談をした場所について注目してほしいんです。

邦丸: はい。

佐藤: 那覇市内のホテルでやっているわけですよ。どういうわけか菅さんは、知事公舎にも県庁にも行きたがらないんですね。これはやはり、異常です。首相官邸に翁長さんが行っているわけだから、次に政府関係者が来るときは沖縄県庁で会うべきです。県側は県庁でやりたいと言っているんです。

邦丸: はい。

佐藤: 要するに、県庁に行くのが怖いみたいなんですね。

邦丸: 官邸側は。

佐藤: ええ。身辺に危険があるということですね。それはどういうことかというと、沖縄県庁というのはすごく風通しがいい。市民がフツーに入ってくるんですよ。ただ、そういうところはきちんと警備もしています。それでも市民たちに、「出て行けーっ」とか「何をやっているんだーっ」とか言われるのが怖いんでしょうが、そういう空気はそういう空気として受け止めればいいんですよ。なにも怖がることはない。

それでホテルで会いたいわけで、前の仲井眞弘多(なかいま・ひろかず)知事ともいつもホテルで会っていました。ホテルならプライベートスペースだから、プレスを完全に排除できるんです。

邦丸: うーむ。

佐藤: こういうようなやり方が不信を招くので、東京では官邸で会っているのだから、那覇では県庁で会うべきだと思います。いずれにせよ、平行線が続きます。

邦丸: はい。

佐藤: それから、もう沖縄の側は「辺野古への移設」とは言わなくなっていますよね。「新基地の建設」と言っています。航空母艦も着けることができるというように、普天間基地よりも圧倒的に規模が強化される。これは移設ではないという認識ですので、基本認識からぶつかってしまいますね。大変なことになります。

邦丸: 安倍総理が今度訪米される、そのときに日米防衛ガイドライン――これはもう日本、アメリカ双方とも文章的にはほぼ合意ができているんだけれども、一応その前にちゃんと筋を通そうかということで、菅さんが沖縄に行って、そして今回、翁長さんが東京に来られて総理官邸でお会いになるということなんですけれども、そのことに対しても、沖縄県側としては不信感があるということですね。

佐藤: そういうことですね。要するに、本気で話をするつもりがあるのか。だって、たったの30分でしょ。挨拶だけで終わりですよ。それだったら、なんかアメリカに行く前に赤ちょうちんで手土産に「おじさん、串揚げ包んでね」というような感じで会談をやっているんじゃないかという、不快な感じがしますよね。

邦丸: うーむ。

佐藤: ですから、誠意が伝わってこないんですよ。この会談の後、ますます沖縄の態度が硬化していくと思います。・・・(以下略)

佐藤優直伝「インテリジェンスの教室」Vol.059(2015年4月22日配信)より