サッカー
二宮寿朗「ハリルホジッチの“勇み足”に思う」

 勇み足――。
 相手力士を土俵際まで追い込みながらも自分の足を土俵の外に先に出してしまうという相撲用語である。昨年11月の九州場所では横綱・日馬富士が東前頭3枚目の高安に「勇み足」で黒星を喫している。一気に前に出た日馬富士の左足が土俵を割ったのだが、横綱の「勇み足」は非常に珍しい。実に18年ぶりの出来事だったそうだ。

 確かにこの言葉自体、相撲で聞くよりも日常生活で出くわすことのほうが多い気がする。大辞林によれば「熱心のあまりに、言動が度を過ぎて失敗すること」とある。

「熱心」ゆえの失態

 実はサッカー日本代表の新監督となったヴァイッド・ハリルホジッチにも先日、「勇み足」があった。
 14日のことだ。J1、J2の合同実行委員会に出席した指揮官は、チュニジア戦、ウズベキスタン戦で招集した29選手の体脂肪率データを持ち出して改善を訴えた。データを用いながら日本サッカーの改革ポイントの自論を展開。各クラブの代表者が集まる実行委員会で訴えることが、解決への近道だと思ったからだろう。

 なぜ、「勇み足」だったのかと言えば、熱心に話すあまり、報道陣のいる前で持っていた資料を掲げたことでデータの詳細が明るみとなったのだ(メディアのカメラに写り込んでしまった)。これにより各選手のデータが“流出”し、ご丁寧にも12%以上の選手には赤いマーカーが引かれてあった。

 測定データは非公表が原則であるため、ハリルホジッチは翌日に謝罪している。クラブで測定した数値と大きく違っている選手もいたようで、かなりバツが悪かったに違いない。

 会議は冒頭のみの公開のため、報道陣が退出した後で話せばいいだけのこと。冷静、知性派のイメージはあるものの、このエピソードからは熱血漢の側面が見えてくる。熱心ゆえに「勇み足」となるのだ。