「自分の意見を伝えられる子どもに育てる」
【第5回】子どもの意見には「加点思考」で接するべき

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【第4回】はこちらをご覧ください。

子どもの意見を引き出す時に絶対にやってはいけないこと

子どもに「自分の意見を言えるようになってほしい」と願う親は多いです。しかしそう口にしながら、一方で、「そんなのじゃなくて、もっと他にないの?」「そんなくだらないことしか言えないの?」と、子どもが出した意見を"却下"する大人が非常に多い。

ぼくは小学校6年生の時、児童会長(生徒会長の小学生版)をやっていました。ある時、全校生徒の前であいさつ(発表)をするために作文を書きました。この時、担当の教師に見てもらったのですが、この教師が、最後の一文を残してすべてを書き変えたのです。

連絡事項を伝える作文ではなく、ぼくの「全校児童へのあいさつ」としての作文です。それを教師がすべて書きなおしました。そして、ぼくの作文を直しながら、他の教師に一言「こいつ、バカだから全部書き直してやらなきゃいけないんだよ(苦笑)」と言いました。

たしかに、ぼくの文章の質は悪かったのだと思います。そしてこの教師が直した文章の方が「正解」に近かったのだと思います。しかし、教師に「正解」を提示されたことで、ぼくはそれから自分が書いたものは「間違い」で、どこかに「正解」があるはず、と考えるようになりました。

今でこそ、ぼくは作家として年間数冊の本を上梓していますが、この経験がいつまでも心の中に残り、何を書いていいかわからない日々が何年も続きました。

考えてみたら、作文は数学と異なり、たった一つの答えなどはありません。もしあるとしたら、自分が書いたものが「答え」でしょう。

大人は、子どもに「自分の感情や意見を言えるようになってほしい」と願いながら、一方で、その感情や意見を言えないような指導をしています。悪気はないと思います。でも、子どもにとっては、自分が書いたものがNGとされ、「自分の考え」そのものをNGと言われたように思ってしまうのです。