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日本の栄枯盛衰をずっと見てきた 東の田園調布、西の芦屋六麓荘「大金持ち」が住む街を歩く(下)

東の田園調布に対して、関西で大豪邸が建ち並ぶ街と言えば、真っ先に六麓荘町が思い浮かぶ。桜の名所・夙川から路線バスに乗って向かった。

六甲山麓の急勾配をかけ上り、狭い区画に瀟洒な邸宅がひしめき合うエリアを抜ける。いつしか電柱と電線がなくなった。そして広々とした大豪邸が姿を現す。ここが西の大金持ちの街・六麓荘町だとひと目でわかった。

町内の日出橋バス停にひとり降り立ち、まずは「六麓荘町町内会員案内図」を見る。田園調布とは異なり、曲がりくねって不規則に道路が敷かれている。山手のほうへ歩き出すと、立派な松が並ぶ日本家屋を見たかと思えば、美術館風の巨大な洋館が顔を出す。

特に、大阪証券取引所社長を務め、「北浜の風雲児」の異名を取った故・巽悟朗邸は圧巻だ。中世ドイツの古城を思わせる赤茶色の塀と建物が傾斜地にどっしりと構える。

歩く人はなかなか見当たらなかった。時折、黒塗りのベンツやセンチュリーがゾロ目のナンバーを掲げて、坂道を縫うように走る。コンビニやATMはない。