AIIB騒動で負け惜しみを言うだけの政府~みなさんBRICS銀行を忘れてませんか?
「古賀茂明と日本再生を考えるメールマガジン」vol124 日本再生のためにより
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中国主導で設立準備が進む「アジアインフラ投資銀行」(AIIB)が話題になった。3月末までの参加によって設立メンバーとして認められるということで、参加すべきか、すべきでないかという報道が続いた。結局、日本は、参加を見送った。

その理由について、中国の影響力が増大する、ガバナンスが明確でない、透明性に欠ける、環境基準など国際標準から外れた貸し出しが行われる、無秩序な貸し出しで他の債権者が被害を受けるなどのデメリットが挙げられている。9日付の読売新聞は、そうした政府の負け惜しみをそのまま垂れ流しで報道した。しかし、これらの理由ははっきり言って説得力ゼロだ。なぜなら、日本が参加しなくても、これらの問題は全く解消せず、むしろ、日本が影響力を行使できない分だけ改善の可能性は低下するからだ。

唯一理由として正当化できるのは、いい加減な貸し出しがされれば、出資金が毀損して国民負担が生じるということくらいだろう。しかし、そのリスクは、英仏独伊などのほかの先進国も同じだ。これらの諸国が集まって、そんなに野放図な貸し出しが行われるのだろうか。極めて疑問だ。

ところで、読売新聞などを含めて、日本のマスコミは視野狭窄に陥っているのではないかと思うことがある。AIIBの議論を行う際に一緒に議論すべき大事なものを忘れているからだ。

その忘れ物とは、BRICS銀行(新開発銀行)だ。経済発展著しい「新興国」であるブラジル(B)、ロシア(R)、インド(I)、中国(C)、南アフリカ(S)の5ヵ国が昨年7月に共同で設立することに合意した。この銀行の総資本は500億ドル。5ヵ国が100億ドルずつ平等に分担する。将来は1,000億ドルまで増やせることになっている。対象となるプロジェクトはインフラ整備が中心になる。

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各国100億ドルずつというと、一見、5ヵ国が対等な関係に見えるが、その内実は中国を中心に回っていると言って良い。中国の経済力は圧倒的で、他の4ヵ国のGDPを足しても中国の3分の2ほどにしかならない。

同時に作られる緊急時に備える外貨準備基金も総額1,000億ドルのうち、世界最大の外貨準備を誇る中国が410億ドルを積み上げている。ここからも中国主導であることがわかる。

中国は、新銀行を「新興国版の世界銀行」、基金を「新興国版のIMF」と位置づけている。

このように、AIIBとこのBRICS銀行の2本立ての陣容で、アメリカ中心の国際金融市場にチャレンジしようとしているのだ。

一時、中国と国境紛争などを抱えるインドがAIIBに参加したことをいぶかるような報道もあったが、BRICSの動きを見れば、インドが中国の勢力拡大に指をくわえて見ているはずがないというのが普通の見方になる。つまり、これはアジアだけの話ではなく、世界の金融秩序の大変革の流れの一部なのである。

そんななか、同じアジアの国である日本がAIIB不参加を決め込んでいる。気がつくと、アジア主要国で、AIIBに参加しないのは日本と北朝鮮だけとなってしまった。

安全保障だけでなく経済すらもアメリカべったり。安倍総理の嫌中感情に支配されて、日本が大きな舵取りを誤っているのだ。日本は一刻も早く、新たな流れへの対応に動くべきだ。・・・(以下略)

古賀茂明と日本再生を考えるメールマガジン Vol.124(2015年4月10日配信)より