公務員改革を骨抜きにして
増税に走る鳩山政権

野党時代の合意した
公務員制度改革法案を骨抜き

 公務員制度改革関連法案をめぐる国会審議が6日から始まった。鳩山由紀夫内閣が提出した政府案を自民党"改革クラブ"みんなの党が連携して提出した対案と比べれば、政府案がいかに改革骨抜き法案であるかは歴然としている。

 かつて民主党が「天下り根絶の切り札」とまで断言していた早期退職勧奨(肩たたき)についても「(退職勧奨しないと)上がつかえて昇級できない。

 ほとんど新規採用もできなくなる」(前原誠司国土交通相)などと悲鳴が上がり、原口一博総務相は早期退職勧奨を容認する人事管理の基本方針を策定する方針を決めた。

 民主党は先の総選挙で「国家公務員総人件費の2割削減」を政権公約(マニフェスト)に掲げた。

 ところが肝心の公務員給与や定員に手をつけないために、公約達成どころか、逆に総務省が「2025年度には2割増加」という見通しを示すありさまだ。

 脱官僚依存を基本路線に掲げながら、なぜこうなってしまったのか。

 ずばり言えば、公務員がつくる労働組合が民主党の有力支持基盤になっているからだ。組合に配慮して給与と定員を減らせないから人件費は膨らみ、やむなく肩たたきも認めざるをえない。

 だが、肩たたきを認めたところで、役所は従来のように随意契約など受け入れ先への「手みやげ」を持たせにくくなっているから、民間の受け入れは難しい。結局、またまた独立行政法人や公益法人に潜り込ませる結果になるのは目に見えている。

 「あちらを立てれば、こちらが立たず」で民主党の改革路線は完全に袋小路に落ち込んでしまっているのだ。

政権党になったとたんに「逆コース」

 福田康夫政権で成立した国家公務員制度改革基本法は法律の施行後1年以内をめどに内閣人事局を設置し、そこに総務省や人事院その他の行政機関がもっている人事機能を移管すると定めた(第11条)。

 ところが今回の政府案をみると、人事院(級別定数)や総務省(機構定員)、財務省(給与)の機能は移管しない。それでは基本法違反になってしまうから、政府案は「必要な法制上の措置を1年以内をめどとして講じる」という問題の条文を基本法から削除してしまう荒業に出た。そこまでやるか、というような改革先送りである。

 基本法は民主党も修正協議に応じて与野党一致で可決成立した。それを政権を握ったとたんに逆コースをたどるのは、いまや民主党が霞が関と公務員組合の連合軍に牛耳られた証拠とみて間違いない。

 自民党"改革クラブ"みんなの党による対案はこうした各省庁にまたがる機能を内閣人事局に集約したうえで、新たに人件費管理の機能も盛り込んだ。さらに事務次官級ポストを廃止し、給与体系を抜本的に改める給与法改正にも踏み込んでいる。基本法の精神を踏まえれば、こちらが正しい道であるのは言うまでもない。

 もっとも自民党は政権を握っていた当時、官僚出身議員の影響が強くて事務次官廃止などとても提案できなかった。野党になって官僚の影響が弱まり、シャンとした面もある。逆に、与党になった民主党は官僚に毒された格好だ。みんなの党の渡辺喜美代表は変わらない。

 鳩山政権は公務員改革の骨抜きに走る一方、このところ急に財政再建論議を加速している。議論の表舞台になっているのは、仙谷由人国家戦略相が主導する「中期的な財政運営に関する検討会」だ。

 検討会は6日、公的債務残高の対国内総生産(GDP)比を安定的に縮減していくという目標をまとめた。この考え方自体は当然すぎて、目新しくもない。数値目標もなく、言ってみれば「お題目」である。

 仙谷自身はかねて「我が国の財政は説明がつかないほどのひどい状況になっている」と強調し、消費税引き上げにも前向きだ。その仙谷が公務員制度改革も担当しているのは、皮肉にも問題の本質を象徴している。

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