小泉堯史&上田正治 第2回
「黒澤組ではみんな、映るかどうかわからない部分まで手を抜かずに準備するんです」

撮影:立木義浩

第1回はこちらをご覧ください。

シマジ しかし黒澤明監督は長生きなさいましたよね。

小泉 88歳でしたね。ご本人は「100歳までは生きるぞ」と言っていたんですよ。

シマジ それは凄い! 100歳までですか。

小泉 そうなんです。「100歳まで頑張る」って言っていたんですよ。黒澤さんは富岡鉄斎が大好きで、鉄斎を目標にしていました。鉄斎は80歳を超えてから凄い絵を残しています。90歳近くで描いた作品がいちばんいいわけです。それもあって黒澤さんは、自分は100歳まで現役で頑張ろうと思っていたんだと思います。

上田 でも実際にそうなっていたら周りがたまらなかったかもね(笑)。

小泉 本当ですね(笑)。

シマジ 三船敏郎さんは、同じ成城に住んでいて、あるときオートバイで黒澤さんの家の周りをぐるぐる回りながら「黒澤のバカ野郎!」って何度も奇声を上げたことがあったそうですね。

小泉 わたしもその話は聞いていますが、本当かどうかは定かではありません。

シマジ もし本当でも、三船さんの気持ちはわかりますね。あれほどの作品をつくるためには、監督は俳優を追い込んで追い込んで、ギリギリのところで本番を撮ったんでしょうからね。