報道の自由の危機に気付かない人々~報道ステーション問題が示した本当の「危機」
古賀茂明と日本再生を考えるメールマガジン vol.124より

ガンジーさんの言葉につながる、幻となった一連の話
~引っ込めさせられたあのフリップに書かれていたこと

27日の放送後、何人かの記者から、「あの放送中に一度出そうとして、古館さんに止められて出せなかったフリップがありましたよね。あのフリップには何が書いてあったんですか?」という質問を受けました。

確かにそういうことがあったのですが、記者たちの関心は、そのフリップに何かとんでもないことが書かれていたのではないかということにあったようです。残念ながら、そんなスキャンダル的なことではなく、このメルマガ読者はすでにご存じのことが書いてありました。

そこには、原発推進のための極めて包括的かつ大規模な政策群が目立たない形で推進されているということと政策金融機関の改革が大幅に後退し、天下りが復活しているということが書いてありました。読者から見れば、既知の話ですが、私が指摘したかったのは、報道ステーションでさえこれらのニュースを報道していなかったということです。古館さんに、「法律に明記されていた政投銀と商工中金の完全民営化時期が今国会に出された改正法で削除されてしまうのを知っていますか?」「安倍政権になってから、全て民間人だった4大政策金融機関のトップのポストのうち3つに財務、経産の次官級の天下りOBが就任したことを知っていますか?」と質問しようと思っていました。

その上で、「これが5年前なら大変なニュースになって、新聞の一面トップを飾り、国会でも審議が紛糾していたでしょう。それなのに、何故、大きなニュースにならないのでしょうか?」と問題提起したかったのです。

その答えは、「政権の圧力」なのか?それとも圧力を怖れた「マスコミ側の自粛」でしょうか? 私の答えはそのいずれでもありません。

私の答えは、マスコミの現場の記者やディレクターが、圧力に負けたり、自粛したりしているうちに、自分達の重大な責務である、政権の監視という仕事を果たす能力を失ってしまったのではないかということです。常に、政権との間で問題とならない範囲での報道をしようとしているうちに、本来は大問題なのに、それに気づくことができなくなってしまったのです。しかも、そのことに本人たちは気づいていないのです。こういう人は、もう、何も権力から圧力を受けることもないし、会社の上層部から自粛しろと言われて悩むこともありません。

ロンドンのマハトマ・ガンジー像---〔PHOTO〕gettyimages

古館さんには、そういう状況について、どう思うか聞いてみたいと思っていました。そういう話はテレビ局ではタブーですから、私でなければ、決して議論できないと思ったのです。

そこまで話した後で、最後にガンジーの言葉(後述)をフリップで示して、テレビ朝日だけではなく、日本中の記者やマスコミ関係者に、「今、私たちは大変な危機に直面しているのではないか、我々はそれに気づくことさえできなくなっているのではないか」ということを訴えて、私の最後の言葉にしたいと考えていたのです。

ところが、古館さんとの言い争いによって、その途中の話をちゃんと話せなかったので、ガンジーの言葉がやや唐突に出る形になってしまったのです。

ただ、ガンジーの言葉には、はかり知れないパワーがあったようです。その後の反響の中で、多くの方が、ガンジーの言葉に共感したという感想を私のもとに送ってくださいました。中には、涙が出て来たという声もありました。時代を超える偉大な力。マハトマ・ガンジーは、私にとって、ネルソン・マンデラと並ぶ永遠の英雄です。・・・(以下略)

古賀茂明と日本再生を考えるメールマガジン Vol.124(2015年4月10日配信)より