佐藤優のインテリジェンス・レポート「イラン核問題の最終解決への道筋を示す『枠組み』合意」

佐藤優直伝「インテリジェンスの教室」Vol.058 インテリジェンス・レポートより
イラン核開発問題の「枠組み」合意に臨む、米・ケリー国務長官とイラン(左)・ムハンマド・ジャヴァドザリフ外務大臣(中央)、フェデリカ・モゲリーニ欧州連合(EU)外務・安全保障政策上級代表兼欧州委員会副委員長(右)---〔PHOTO〕gettyimages

【事実関係】
4月2日夜(日本時間3日未明)、イランの核開発問題をめぐり、スイスのローザンヌで協議を続けていた欧米などの6ヵ国とイランが、最終解決への道筋を示す「枠組み」に合意した。

【コメント】
1.
米国のオバマ大統領は、「イランが核兵器をつくる道を止めた」と自画自賛しているが、事態は楽観できない。

2.―(1)
この「枠組み」合意では、イランが遠心分離器を6104基も保有することを認めている(現在は約1万9000基を保有)。

2.―(2)
また、空爆によって破壊することができない地下深くにあるフォルドゥのウラン濃縮施設も“研究施設”として存続することが認められた。

3.
イランはフォルドゥの地下工場で、ウランを20%まで濃縮していた。原子力発電のためなら5%の濃縮で十分なはずだ。ウランを90%まで濃縮すると広島型原爆をつくることができる。「核保有」はイランの国策だ。保守派だけでなく改革派も、イランの核保有に賛成している。そうすることによって、ペルシア帝国を復活しようとしているのである。

4.
「枠組み」合意では、現在の“核爆弾1発分の濃縮ウランを2~3ヵ月で生産できる”能力を、「最低1年に延ばし、10年間はこの状態を続ける」ということに合意している。裏返して言うならば、「イランが本気で核開発を行えば、1年後に原爆を持つ」ということを米国が認めたことを意味する。

5.―(1)
今回、米国はイランに大幅に譲歩した。それは、シリアとイラクの一部地域を実効支配する過激派組織「イスラム国」(IS)との戦いにおいて、米国がイランの協力を必要とするからだ。ISはスンニ派に属し、シーア派のイランを殲滅しなければ世界イスラム革命はできないと考えている。米国はここに目をつけて、「敵の敵は味方」という論理でイランに接近しているのだ。

5.―(2)
イランは狡猾な外交を展開している。確かに、ISとの戦いにおいては、イランは欧米に協力する。それがイランの国益に合致しているからだ。ただし、核開発についても、イランはこれを完遂するという強い決意を持っている。・・・(以下略)

佐藤優直伝「インテリジェンスの教室」vol058(2015年4月8日配信)より