企業・経営
「コーポレートガバナンス・コードに問題あり。300万社を縛る会社法は限界です」
上村達男・早稲田大学法学部教授インタビュー

上場企業のあるべき姿として、独立社外取締役を2人以上置くことなどを求めた「コーポレートガバナンス・コード(企業統治指針)」。日本企業の経営体制を大きく変えると期待する声が強いが、会社法の専門家から見ると問題が少なくないという。ソフト・ロー(法的拘束力のない規範)による安易なルール設定ではなく、基本法である会社法のあり方自体を見直すべきだ、と主張する上村達男・早稲田大学教授に聞いた。

 そもそも300万社を1つの会社法で規定するのが無理

うえむら・たつお 早稲田大学法学部教授。 東京証券取引所自主規制法人アドバイザリーボード委員、NHK経営委員会委員。著書に「会社法改革―公開株式会社法 の構想」(岩波書店)など

――導入が決まったコーポレートガバナンス・コードについて厳しいご意見をお持ちのようですが。

上村 ガバナンス・コードのような「ソフトロー」はきっちりした法律があってこそ意味があります。

英国では判例法の例外あるいは確認として、成文化された制定法が存在するが、その場合の法はすべての事項を列記するようなガチガチの形式になっているのです。ドイツでもハードな会社法がある上に、株式公開会社に適用されるものとしてガバナンス・コードが置かれている。

ところが、日本の場合、土台である会社法がぐちゃぐちゃに溶けてしまっているうえに、さらにソフトローを載せています。私はこれを、「二段重ねのソフトクリームだ」と言って批判しています。

――会社法自体の法体系が崩れてしまっている、と?

上村 2005年に成立した会社法によって、それまでの有限会社も株式会社になりました。その結果、今では株式会社は300万社近くも存在するようになりました。ドイツでは大半が有限会社で、株式会社は株式公開企業を中心に1万社ほどです。

町中の家族経営の商店から株式を上場するグローバル企業まで1つの会社法で規定しているのですが、そもそもそこに無理があります。きちんと会社のあり方に応じた区分立法をやりなおして、会社法の体系を立て直すべきです。3年から5年かけて、真剣に議論をすべきです。

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