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受験エリートが医学部に殺到!「弁護士・会計士はもう食っていけないから」医者ひとり勝ちの時代、その不幸(上)

週刊現代 プロフィール
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「昔は司法試験の合格率は3%ほどだったので、受かれば一生安泰の資格でした。ところが司法制度改革によって、法科大学院に通えば3~4割くらいは弁護士になれるようになった。その結果、需要と供給のバランスが崩れ、弁護士は安定した職業ではなくなったのです」(「進路づくり教育」の講師・プランナーなどを務める倉部史記氏)

都内の私立大学医学部に通う学生は、医者を目指した理由をこう語る。

「弁護士の資格を取ったはいいけど働き口がない、開業しても顧客が取れなくて年収200万円なんて言っている人はいくらでもいる。弁護士はダメだ、なら医者だな、と。病気は景気に左右されませんしね」

いまの学生たちが仕事を選ぶ際の基準は「リスクが少ない」ことがキーワードになっているという。

「弁護士や会計士などの資格を取っても食っていけない、メーカーなどに勤めても、業績が急に悪化することもある。となれば、医者です。リターンも大きいしリスクが少ないと考える人が多いんです」(前出・倉部氏)

安定志向の学生たちにとって、「もっとも食いっぱぐれのない魅力的な職業」は、医者一つに絞られている。まさにいま、「医者ひとり勝ちの時代」が到来しているのだ。

たしかに、医師の国家資格を取れば、定年もなく死ぬまで医者として働くことができる。

「司法書士や弁護士などは、自己破産すると国家資格が一時停止してしまうのですが、医者は違う。犯罪をおかせば話は別ですが、たとえ病院の経営に失敗して自己破産しても、医師免許が剥奪されることはありません」(医系予備校「進学塾ビッグバン」代表・松原好之氏)

医療過疎の地方へ行けば、働き口は確実にある。仕事の内容さえこだわらなければ、食えなくなることはほとんどない。

稼げるから医者

しかし、本当に「医者になりさえすれば勝ち組」なのだろうか。天皇陛下の心臓手術の執刀医を務めた順天堂大学医学部心臓血管外科教授の天野篤医師は、「医者ひとり勝ち時代」をこう懸念する。

「受験生を教育する人々が『医者になっておけば給料も高いし、食いっぱぐれがないからいいぞ』と言うのは勝手ですが、現場の医者が同じことを言って学生を医学部に誘ったら詐欺に近い。誇大広告ですね。医療関係者は現実の厳しさを知っているから『医者はいいぞ』とは言わないでしょう」

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