アメリカの正義は日本の正義?日米防衛ガイドラインの既成事実化に向け舵を取る安倍政権
古賀茂明と日本再生を考えるメールマガジン vol123より
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統一地方選前の、沖縄基地問題、公明党対策

古賀: 1つは沖縄の話。(略)辺野古の埋め立てに関して岩礁破砕というんですが、要するに珊瑚礁を破壊しちゃいけませんよという趣旨で守ろうとしている沖縄県に対して埋め立てするわけですから、どうしてもそういうのはやらなくちゃいけない部分があるんですけれども、それを沖縄県知事の仲井眞さんが辞める直前に、いいですよという許可を出した。

しかしその許可を出した範囲の外でいろいろ珊瑚礁が傷めつけられているんじゃないか、大きなコンクリートのブロックでつぶされていたりするんじゃないかということで、沖縄県が調査をしていたんですけれども、立ち入り禁止の区域の中は入れなくて調査ができない、でも、そのすぐ外側ではやっぱりいろいろ珊瑚礁が傷められているから、中も調査しなきゃいけない。調査するためにはボーリングとか、そういうのもやめて中に入れてもらって調査させてくださいということを指示したんですけれども、政府側は一切無視という、そんなこと、今ごろ言うなんてとんでもないということで、場合によっては訴訟だって辞さないぞみたいな態度でやっていたんですが、ちょっとどうなんですかね、今日(3月26日)の官房長官の記者会見で。

Gbiz: 翁長さんが中止を言ったら菅さんがお会いしたいと。

古賀: ただ、遠くないうちにだっけ。

Gbiz: そうですね。

古賀: とかいうことで、だから明日、会うわけじゃない。ただ、さすがにちょっとやばいんじゃないのという。結局、会いもしないという非常に稚拙な、要するに力で抑えつけちゃうということなんですね。ちょっとでも話をするような素振りを見せたら相手が、つけ上がるんじゃないかというような、何か、よくわからないですね、暴力団を相手に決して譲ってはいけませんとか、あるいはテロリストには一歩も譲ってはいけませんって何か、そういう相手とやっているみたいな印象を受けちゃうんですけど、いくら何でも会わないっていうのは。しかも就任から3ヵ月っていうような。3ヵ月だっけ? 3ヵ月以上、もう、たちましたね。

Gbiz: そうですね。(翁長県知事は2014年12月10日就任)

古賀: 3ヵ月たっているのに、一度も会おうとしないで、それはあんまりじゃないかというので、若干態度を軟化させていると。予算は補正予算を組むことになっちゃうんですけど、いずれにしても、もう山を越えている。参議院はずっと反対していても自然成立しちゃいますから、たぶん総理、安倍政権の頭は安保法制のことでいっぱいと。

今度の国会は安倍さんは何と言ったかというと改革断行国会と言ったんですよ。だから本当は安倍さんの頭の中は改革の話でいっぱいでないといけないはずなんですけど、そういうことは、もう一切、たぶんなくなっちゃっているでしょうね。もう安保の話ばっかりです。

4月以降、それでかなり強硬な路線を進めていかなくちゃいけないという中で、ちょっと沖縄のことで、あまりにも露骨に相手の沖縄を踏みにじるということをやりながら安保法制というのは、なかなか厳しいんじゃないのということと、それから統一地方選も、もう知事選は、解禁になりました。解禁というか、始まりましたので、そういう状況の中ではちょっと譲る姿勢を見せたと。

そんなに甘くはないので、これから先、本当に沖縄の気持ちをくんでやってくれるかというと、それは、もうまったくないだろうなというふうに思っています。

そして安保法制のほうは公明党と一応、合意したんだみたいなことになっちゃっているんですけれども、けっこう重要なポイントは全部わからないまま、先送りで、これも何で、そんなことになっちゃったかというと、あんまり細かいところをギリギリやっていくと公明党となかなか折り合うのも難しいところがあるので、公明党としてはそんなことを統一地方選の直前までやられちゃ困る。

公明党は平和の党だというイメージで売ってますので、それが自民党に、また今日も譲歩しました、明日も譲歩しましたということでは、とても選挙ができないという配慮で、とりあえず1回、打ち止めにして、そして統一地方選が終わったら、また自民党のごり押しが始まると。こういう状況になっているということですね。

安倍首相訪米の問題点

古賀: その中で非常に気になるのは安倍さんが4月の下旬にアメリカに行って、オバマさんと会うと。もちろん会っていただくのは全然、問題ないし、どちらかというと、オバマさんに嫌われているんじゃないかと、みんな、心配しているわけですから、会っていただくのは非常にいいことだと思うんですけれども、会いに行って、何をするかというとTPPの話もするでしょうが、もう1つ、日米防衛ガイドラインという日本とアメリカの防衛の協力というか、防衛の政策についての基本的な方針を改定をするわけですね。それの改定を合意しちゃおうと。

いや、合意しちゃうって本当に合意するのと私は思ったんですけど、いかにも合意しちゃいそうな感じで今、話が聞こえてきていますね。普通、国民の感覚では、「えっ」と思うんですね。というのは安保法制の中身は、まだ全然、固まっていないじゃないか。一応、おおむねの合意にはなったということにはなっていますが、それは自民党と公明党だけの話で野党との間では、まだ提案さえ出てきていないわけですね。ですから国会でまともな議論が行われていないのに、先にアメリカと合意しちゃおうと。

そうするとこれは完全に既成事実をつくって、あとでいろいろ反対をして国会で議論をしても、いや、アメリカに約束しちゃったものをひっくり返すのかということで事実上、できなくなっちゃうんです。いろんな議論の中で例えば「自衛隊を派遣するときに集団的自衛権もどんどん、どんどん範囲が拡大するじゃないか」というようなことを言ったときに「原則として国会での承認を得るんですよ」とか、自衛隊を出動するときに安倍さんたちはよく言うんですよ。

ですから「国会でちゃんとコントロールされているんです」なんて言うけど、今のやり方を見ているとおそらく集団的自衛権も原則として国会承認なんですけど、原則ということはそうじゃないということを決められることになるわけで、簡単に言えば、急ぐときはとりあえず出して、あとで国会の承認を得ますよ、みたいな、そんなことをたぶんやるということになるわけです。

今回の防衛ガイドラインの話も本当は国会でちゃんと議論をして、大きな方向性について与野党で議論をした上で、それを踏まえた上で政府としてアメリカと交渉をして1つのガイドラインをまとめていくというのが本来、あるべき話じゃないかなと思うんです。

けれども「もう、これは急がなきゃいけないから」とか言って、議論する前に先に決めちゃうという。これはまったく同じ体質が出ているなと。

要は国民とか国会よりもアメリカ政府のほうが先だ。集団的自衛権もアメリカに頼まれたら「とりあえず急ぎます」と言って自衛隊を出しちゃって、そのあとで国会に承認を求める。

国会で駄目だという議論が出ても「いや、いや。だってアメリカと一緒に戦ってるんですよ、今。そんな戦ってるときに反対なんて言っていいんですか」という、私が“I am not ABE”と言ったときと同じような議論になって、今、大事な戦いのときに政府批判をするなんてとんでもないみたいな話にどうせなるに違いないんです。

この日米防衛ガイドラインというのは結局、今、安倍さんが進めている新しい日本の形、とにかくアメリカと日本は価値観が一緒です。アメリカの正義は日本の正義です。だからアメリカが戦うところには日本は一緒に出ていって戦うんですという、この大きな路線が議論する前に既成事実として動かせなくなってしまう非常に重要なポイントに差しかかっているということだと思います。・・・(以下略)

古賀茂明と日本再生を考えるメールマガジンvol.123(2015年4月3日配信)より