雑誌
14億人のトップ習近平の栄光と孤独 謀殺に脅える「異常な警戒心」 初めて明かされる素顔(下)
photo Gety Images

みんなが恐れ、ひれ伏す

この代表によれば、いまや全国の富裕層の人々も、習近平に脅える日々だという。

「3月2日に米『フォーブス』誌が発表した中国長者番付トップの『不 動産王』王健林は、身の危険を感じて、習近平のたった二つの趣味であるサッカーとハリウッド映画に目をつけた。1月に昨季スペインリーグの覇者アトレチ コ・マドリードの株の2割を買ってオーナーになり、夏にスター選手たちを北京で習近平に引き合わせると約束。また青島に『中国版ハリウッド』を建設すると ブチ上げ、再来年のオープンに向けて工事を始めています。逆に習近平の嫌いなゴルフへは、誰も投資しなくなりました」

3月5日、全人代の開幕式に参加し、李克強首相の政府活動報告を聞いた習近平主席は、午後になると、上海市代表団の分科会に加わった。31の地方が それぞれ別の部屋で分科会を開いたが、習近平主席は昨年、一昨年に続き、3年連続で迷わず、上海市の指導者たちが一堂に会する部屋に向かったのだった。

前出の李大音氏が解説する。

「習近平は2年前に国家主席に就いた時から、中国政界最大の黒幕、江沢民元主席と、その一派『上海閥』を打倒することに闘志を燃やしてきました。そのため、敵の〝本丸〟に乗り込んで、『江沢民の上海』から『習近平の上海』に塗り替えているのです」

この日の習近平主席は、上海市の幹部たちを前に演説をぶち、「刷新」という言葉を繰り返した。

「旧い時代(江沢民時代)の意識は捨て、すべてを刷新するのだ。刷新する者だけが勝者になると思え。上海は、刷新して発展する先行者となり、全国の刷新を助けるのだ!」

習近平主席の演説が終わると、その迫力に圧倒されたかのように、上海で「江沢民一家の御用聞き」というニックネームがついた楊雄市長が、必死にお追 従を述べた。続いて同じく「江沢民の犬」と言われた上海市トップの韓正・上海市党委書記が、汗をかきかき習近平主席の偉大さを称賛したのだった。

「この上海市最高幹部二人は、昨年の大晦日に、上海最大の観光名所バンド(外灘)で起こった将棋倒し事故(36人死亡)の責任を取らせる形で、クビになるはずでした。ところが習近平主席が『待った』をかけて、首の皮一枚で延命した。

習主席は、この二人にもっと重大な汚職のレッテルを貼って監獄にブチ込もうと考えているのです。それは本人たちも薄々感じ取っているため、二人とも、いわば命がけで習主席への阿諛追従に及んだというわけです」(同・李氏)

この続きは、プレミアム会員になるとご覧いただけます。
現代ビジネスプレミアム会員になれば、
過去の記事がすべて読み放題!
無料1ヶ月お試しキャンペーン実施中
すでに会員の方はこちら