賢者の知恵
2015年04月03日(金)

大阪市民の「知る権利」 ~市長は「協定書」を正しく説明せよ~
文/京都大学大学院教授 藤井聡

upperline

未だ論駁されていない「『都構想』に関する『7つの事実』」

藤井聡 京都大学大学院工学研究科教授、同大学レジリエンス研究ユニット長、1968年生、46歳。内閣官房参与(防災減災ニューディール担当)。京都大学卒業後、同大学助教授、東京工業大学教授等を経て現職。文部科学大臣表彰、日本学術振興会賞等、等受賞多数。専門は公共政策論。著書は「大衆社会の処方箋」「社会的ジレンマの処方箋」「レジリエンス・ジャパン」等多数。

筆者は、1月末日、「大阪都構想:知っていてほしい7つの事実」という原稿を出版しました。

これは、今、予定されている「都構想」の「協定書」に対する住民投票の有権者判断に意味を持つであろう「7つの事実」を、概説する原稿でした。

その内容は、以下のようなものでした。

【事実1】今回の住民投票で決まっても、「大阪都」にはなりません。 (※ 今回の住民投票で可決されるということが原因で、大阪府が大阪都という「名称」になる、ということはない)

【事実2】今の「都構想」は、要するに「大阪市を解体して五つの特別区に分割する」ことです。 (※ かつては,堺市や周辺の自治体も含めて「特別区」をつくることが構想されていたが、現時点の「協定書」は、「大阪市を解体して5つの特別区に分割する」という設計図になっている)

【事実3】年間2200億円の大阪市民の税金が市外に「流出」します。 (※ 大阪市民が自分の「権限」で自由に使える「財源」(=財布)から2200億円が流れ出て、その2200億円の使い道を、自分だけで「管理」できなくなる)

【事実4】流出した2200億円の多くが、大阪市「外」に使われます。 (※ 一旦「府」に吸い上げられた2200億円は、所得の再分配の機能を通して、他の自治体に回されたり、昨今財政が厳しくなった大阪府の財政のために活用されるようになるのは決定的)

【事実5】特別区の人口比は東京は「7割」、でも大阪では「たった3割」。 (※ だから、「数の論理」から考えて、都心を特に重視した「大都市行政」は大阪においては期待できない)

【事実6】東京23区の人々は、「東京市」が無いせいで「損」をしています。 (※ つまり、東京23区に政令市という保護システムさえあれば、その東京市には、今、「東京都」に召し上げられている、莫大な税金がそのまま残され、その結果、より豊富なおカネを自由に使うことが可能となります)

【事実7】東京の繁栄は「都」という仕組みのせいでなく、「一極集中」の賜(たまもの)です。
 (※ 首都東京に、あらゆるモノが一極集中しているのが、東京23区の豊かさの秘密。その豊かさは、「東京市」という政令市の保護システムがないせいで、自主財源が流出し、23区民が「損」をしたとしても余りあるほどの豊かさだった)

この原稿については、一部政治家から「デマ」「嘘八百」と激しく非難されました(http://satoshi-fujii.com/pressure/)。

しかし、どこがどのように「デマ」「嘘」なのかについては、そう喧伝する方々から理論的に指摘されたことはありませんでした。最も論争を呼んだのは「事実4」で、本現代ビジネス誌上の高橋洋一先生とも複数回のやりとり等を致しましたが、それらを通しても、結局「デマ」だという結論には至りませんでした(ご関心の方は下記、ご参照ください)。
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/42056 
http://www.mitsuhashitakaaki.net/2015/02/10/fujii-131/
http://satoshi-fujii.com/150326-3/

次ページ そんな中、本現代ビジネス誌上で…
1 2 3 4 5 次へ

このエントリーをはてなブックマークに追加 RSS
関連記事


underline
アクセスランキング
1時間
24時間
トレンドウォッチ