賢者の知恵
2015年04月03日(金)

安倍昭恵×小林りん【前編】job seekerからjob creatorへ。唯一の解を覚えるのではなく、「なぜか?」を探求する力をつける

ISAKの教育

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ISAKの生徒・先生たちと安倍昭恵さん、小林りんさん

長野県軽井沢町にある全寮制国際高等学校「ISAK(International School of Asia Karuizawa)。「アジア太平洋地域そしてグローバル社会のために、新たなフロンティアを創り出すチェンジメーカーを育てる」ことをミッションに、2014年8月に開校した。ISAKでは今、第1期生として、タイやシンガポールからアメリカやソマリアまで世界15ヵ国・地域から集まった49名の多様性溢れる生徒たちが、共に学び生活している。

今回、日本のファーストレディであり2014年7月より女性の第一歩を応援する「UZUの学校」を運営する安部昭恵さんがISAKを訪れ、授業を見学。その後、2007年よりISAKの構想を温め行動し形にしてきた代表理事の小林りんさんとの対談が実現した。ISAKで行われている教育、そしてこれからの教育に必要なこととは---。

ISAKが重視する3つの力

安倍昭恵(敬称略。以下、安倍): 今日はISAKの授業を見学し、本当にびっくりしました。お話には聞いていましたが、実際に生徒たちが勉強している姿を見て、感動しました。歴史の授業において、先生が「権力とは何なのか?」という問いを投げて、生徒たちが自分の発想を持って答える。ただ覚えるということではなく、「自分の頭で考えること」を重視されていていますよね。大人だってなかなか答えられないような問いについて、じっくり考えて発表し議論を深めていて。世界で闘っていくためには、「自ら考える力」が大事なんだ、と改めて感じました。

小林りん(敬称略。以下小林): ISAKはグローバル教育だと言われますが、国内であっても自分で考える教育は必要だと私は思っています。米デューク大学のキャシー・デビットソンが「2011年度に米国の小学校に入学した子どもたちの65%は、大学卒業時に今は存在していない職業に就くだろう」と予測し話題になっていましたが、日本もそう遠くない未来だと思うんです。変化の激しい時代、既存のものを求める「job seeker」よりも自ら仕事を創り出していく「Job creator」になっていかなければいけません。そういう意味でも、インターネットで調べればわかることを覚えることよりも「なぜ、それが起こったのか?」「そこにどんな意味があるのか」を探求する力が求められてきます。

安倍: これから人工知能とかが発展してくると、人間の意味が問われてきますよね。覚えることは機械でも代替できてしまうから、人間だからできることに教育も力を入れていかないといけないですね。

小林: ISAKの教育では3つのキーワードを大事にしています。一つは今お伝えした自分の頭で考えて、「課題設定をする力」。もう一つは「多様性への寛容力」。そして、「困難に挑戦していく力」です。2つ目の多様性に関しては、この学校には15ヵ国の国と地域から、社会経済的にも様々な生徒が集まっているので、例えば歴史の授業で「江戸時代」を勉強するとしても、この時代にタイではこんなことが起こっていた、フィリピンではこんな状態だった、といった多様な視点が得られるんですね。

安倍: 今日の授業でもいろんな国の生徒たちがそれぞれの視点で多様性に富む意見を述べていましたが、面白いと思ったのは、先生が誰に対しても「不正解」とは言わないこと。苦い顔はするけれど、「間違っている」とは言わないですよね。

小林: 答えを決めて、正解・不正解という教育とは真反対の授業をしていますね。生徒たちは答えのなさそうな問いについて考え続ける。でもこれは、現実社会に近いものだと思うんです。実社会に唯一の答えなんてない。自分で答えを見つけて、その答えが相手に受け入れられないのであれば、説得する必要がありますから。

授業の様子
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