隘路に迷い込むテレ朝報道局。ニュースは予定調和に支配されたショーではない!
テレビ朝日HPより

視聴者に対して不誠実な報道姿勢

テレビ朝日報道局によれば、日本の警察はだらしなく、ほかのマスコミはテレ朝よりはるかに劣ることになる。なにしろ、警察のトップが狙われた「国松孝次警察庁長官狙撃事件」(1995年)の真犯人を、テレ朝だけが突き止め、警察は逮捕すら出来ず、ほかのマスコミも事実確認においてテレ朝に追いついていないのだから。

テレ朝は3月29日午後7時から、『世紀の瞬間&日本政府VS過激派テロリスト!! 未解決事件スペシャル』と題した特別番組を放送し、中村泰という別の事件での受刑者(84)が犯人だと繰り返し強調した。新聞タイトルでも「中村は200%犯人だ」と勇ましく謳った。

ところが、この特番には腑に落ちない点がいくつもあった。まず、報道局デスクが中村受刑囚との面会や手紙のやり取りに成功したことが、あたかもスクープのように扱われたが、そんなことはない。2007年までの時点で、複数のマスコミが中村受刑囚と手紙のやり取りをしている。中村受刑者による他社との交信の事実を報じなかったのは、視聴者に対して不誠実だろう。

「過去の他社への手紙には、こう書かれていたが、テレ朝に対する手紙には新事実が記されていた」などと説明するべきだった。なにより、中村受刑者がマスコミとの接触を嫌がらないという事実は、彼の人物像を表す重大なファクターであるはずで、やはり触れるべきだっただろう。

中村受刑囚はマスコミとやり取りをするたび、狙撃事件の犯人が自分であることを示唆した。だが、テレ朝以外のマスコミは「中村受刑囚はシロ」という判断をすでに下している。結局、どの社も中村受刑囚を取材対象から外した。他社はテレ朝に出し抜かれた訳ではないのだ。

根拠もないのに、なぜ「200%犯人」と言い切れたのか?

もちろん警察も中村受刑囚を徹底的に調べ上げた。都内の弁護士が同受刑囚を殺人未遂罪で刑事告発したことを受け、東京地検特捜部も警察とは別に捜査を行った。

中村受刑者は警察と検察の聴取に対し、それぞれ犯行を認めたが、結局は逮捕されず、もちろん起訴にも至っていない。警察と検察の双方から「自白の信用性に疑義がある」とされたのだ。

つまり、嫌疑不十分。分かりやすく言うと、中村証言は信用できないと見なされたのである。中村証言には、犯人だけが知り得る、秘密の暴露がないと判断された。

にもかかわらず、どうしてテレ朝だけが「200%犯人」と言い切れたのだろう。特番を眺めたが、その根拠が皆目分からなかった。中村受刑囚のキャラクターを際立たせるためなのか、東大中退の経歴などは紹介されたが、中村証言が警察にも検察にも信用されなかったことについては詳報されていない。