総理は実質賃金の意味を知らなかった!? 一見「消化試合」の国会論戦が、実は面白い

春の国会は「消化試合」?

先週16日、一般会計総額96.34兆円(前年度当初予算比0.5%増)の来年度予算案が、参議院予算委員会で実質審議入りとなった。

審議入りといっても、仮に参議院で採決に至らなかったとして、予算案は衆議院の優越により4月12日に自然成立する。そもそも与党は両院で絶対安定多数を確保しているので、不測の事態は想定しようがない。政府・与党の関係者にとっては正直、「余計な波風を立てずに粛々と予算案を通過させたい」というところだろう。

そんな状況の中で、国会ではいったいどんな議論が行われているのか。最近の主な政策論点を下記にまとめてみた。

【最近の主な政策論点】

A)安全保障法制の与党における骨格協議
自民党と公明党は、安全保障法制整備に関する与党協議会で集団的自衛権行使の限定容認を含む新たな安全保障関連法案の骨格をとりまとめ、共同文書「安全保障法制整備の具体的な方向性について」として与党合意に達した(http://www.yomiuri.co.jp/feature/matome/20150319-OYT8T50063.html)。だが、自民・公明間での意見が一致していない部分もあり、曖昧な表現も見当たる。

B)農協法改正案
政府は4月3日までに農協法改正案を閣議決定の上、通常国会に提出する方針。
改正のポイントは以下の3点。
①全国農業協同組合中央会(JA全中)の中央会制度を廃止
②JA全中の地域農協の経営状態などを監査してきた監査・指導権限を撤廃
③法施行から3年半後にはJA全中を特別認可法人から一般社団法人に完全移行

C)法人の納税額公示制度の議員立法
個人の高額納税者(個人・法人)の公示制度は個人情報保護などを理由に2006年に廃止されていたが、民主党・維新の党など野党6党が、資本金100億円以上の企業法人(約1000社)の所得金額・法人税額を公表するよう政府に義務付ける「法人税法の一部を改正する法律案」を参議院に共同提出。

これらはもちろん報道ベースで追うことが出来る内容で、テレビや新聞で目にしている方も多いだろう。

正直、これらのラインナップを見ると、ダイナミックでスリルのある論戦を国会の役割として期待している方には、ひどく物足りないだろう。「A」は大きな論点だが、まだ自公間での調整が続いている状況で、今すぐ国会で審議されるようでもない。「B」も国会論戦というよりは、自民党内の駆け引きに注目が集まる内容だ。「C」はそもそも、野党としての共同歩調を示す意味合いが強いだろうから、論戦の具体的な盛り上がりを期待できそうにはない。

ねじれが続いていた数年前までと違い、国会の審議はスムーズになったが、その分この時期の国会が、一気に「消化試合」となってしまったのも事実だろう。

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