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14億人のトップ習近平の栄光と孤独 謀殺に脅える「異常な警戒心」 初めて明かされる素顔(上)
アジアインフラ投資銀行(AⅠⅠB)を設立し、アジアの盟主も狙い始めた〔PHOTO〕gettyimages

性格は孤独でネクラ。猜疑心が強く、権力闘争にひときわ敏感で、政敵は容赦なく粛清していく—。このほど終了した全国人民代表大会で、隣国の独裁者の無慈悲で不安げな「素顔」が見えてきた。

自らの護衛責任者も更迭

「両会」—中国では、国会にあたる全国人民代表大会(全人代)と、政府への唯一の諮問機関である中国人民政治協商会議(政協)を合わせて、こう呼ぶ。日本で言えば、衆議院と参議院に近い存在だ。

「両会」は一年で3月前半しか開かれない。今年の全人代は3月5日から15日まで、政協は3日から13日まで、それぞれ北京の人民大会堂で開かれた。

その「両会」の開幕直前、天安門広場の北西に広がる最高幹部の職住地「中南海」で、異変が起こった。中南海に住む最高幹部たちの護衛を担当する中国共産党中央弁公庁警衛局(中央警衛局)で、習近平主席の護衛責任者を務める曹清局長(人民解放軍中将・63歳)が突如、解任されたのだ。

その理由について、「両会」代表の一人が明かす。

「曹清局長は、1976年に毛沢東夫人の江青ら『四人組』を電撃逮捕したことで名を馳せた人物です。その後、胡錦濤前主席に目をかけられて、'07年9月に胡錦濤主席を警護する中央警衛局長に抜擢されました。

2年前に国家主席を引き継いだ習近平は、そんな曹清局長を信頼できなかった。習近平は昨年末に、『胡錦濤の分身』と言われた最側近の令計画・党統一戦線部長を引っ捕らえており、その件で胡錦濤は習近平に対して、はらわたが煮えくり返っている。そのため習近平は、胡錦濤が気心の知れた曹清を焚きつけて、自分に銃を向けてくるのではないかと、気が気でなかったのです。

そこで、曹清よりは信頼できる王少軍副局長(少将・60歳)を局長に抜擢した。曹清は、北京軍区の副司令員に横滑りさせ、体よく中南海から追い出したというわけです」

全人代の代表でもある曹清中将は、3月5日に人民大会堂に現れた。だが、終始顔を曇らせ、記者の直撃取材にも無言だった。

しかし、自分の警護団のトップをクビにしても、習近平主席の動揺は収まらなかった。米ノースカロライナ州に本部を置き、米政府からバックアップを受けている亡命中国人団体のサイト「博訊ネット」は3月4日、北京で起こったばかりという衝撃的なニュースをスッパ抜いた。

〈中央警衛局の一部が3日、クーデターを起こし、習近平政権の転覆を謀った。クーデターによって、習近平や王岐山(習近平側近で共産党序列6位)らを軟禁する計画だった。だがこの計画は、人民大会堂にいた習近平主席に、事前に伝わってしまった。そのため習主席は、直ちに北京軍区を出動させた。

これによって、クーデターは未遂に終わった。怒り心頭の習近平主席は、300人以上の中央警衛局員たちを、厳重な取り調べの対象とした〉

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