【有料会員限定記事】北イタリアの珍しい料理を食べてみよう!
『ダ・オルモ』のwebサイトより

朴訥としたおいしさを味わえる北イタリア料理のレストラン

イタリア料理の魅力のひとつは、地方郷土料理を食べることにある。中央集権で料理が作られてきたフランス料理とは違い、イタリア料理には地方の特色が根強く残っており、現在でも北イタリアと南イタリアの人たちは、互いの文化を認め合っていない頑固さもある。

そのうち北イタリア料理というと、州都をミラノとするロンバルディア州の料理やトリノのあるピエモンテ料理、あるいはフィレンツェのあるトスカーナ料理、ベニスのヴェネツィア料理といったところが一般的だろう。

東京でもピエモンテ料理やトスカーナ料理を出す店が多い。しかし北イタリアとされるのは8州あり、地方色豊かなそれぞれの料理が存在する。

今回紹介するのは、イタリア北東部のなかで最北端に位置する、トレンティーノ=アルト・アディジェ州の料理だ。スイスとオーストリアの国境に接し、ほぼ全域が山岳地帯の州である。一部の地域では、バイリンガルでドイツ語を話す地域もあり、ドイツ料理の影響や山の幸を使った料理など素朴で温かいものが多い。

そのトレンティーノ=アルト・アディジェ州で修行した北村征博シェフが開く『ダ・オルモ』が神谷町にある。派手で濃いイタリア料理とは違う、朴訥なおいしさを噛みしめられる店だ。

今の時期は前菜なら「ヤマメのトローテ・イン・ブル」はどうだろう。白ワインとスパイスで煮た骨まで食べられるヤマメは雑味がなく、ヤマメの深いコクとワインの酸味、根セロリやジャガイモの優しい甘みが呼応し合って、しみじみとうまい。

あるいは「中勢以熟成但馬牛のトンビのカルネサラータ」もいい。カルネサラータとはスパイス類に漬け込んだ肉を薄切りにしたもので、塩気とハーブ類の香気に熟成肉の深い香り加わり、充足感が幾重にも押し寄せてくる。これに合わせ、添えられた山羊のフレッシュチーズ、「ボッコンチーニ・プーラ・カップラ」も加えれば、肉の鉄分とチーズの酸味が共鳴して笑みがこぼれる。

そのほか、うまみが深い「五島列島オオモンハタのカルパッチョ」や、トマトと辛みを入れてミミイカを軽く煮た、「ミミイカのインツィミーノ」などもおすすめだ。

パスタはこの州ならではのものを是非。ひとつは「ラサ」という、米粒状の小さな生パスタだ。「コブ鯛のラサ」は、コブ鯛の滋味にドライトマトの酸味とうまみ、そこへラサの甘みが加わった心が温まるような皿である。

また「スペッツレ」というパスタもいい。これはドイツ料理の影響を受けたパスタで、生地を細くよって湯の中に落とす。日本のすいとんの細くよれた麺と思ってほしい。これと山菜と合わせた「山菜のスペッツレ」は、山菜のさまざまなコリとほろ苦みが交差するなかで、優しいスペッツレの味がにじみ出る逸品だ。

さらには、「カネーデルリ」という料理も見逃せない。この料理は残り物のパンと小麦粉やチーズ、スペック(豚の塩漬け)などを混ぜた団子である。パンと小麦粉以外に入れる食材は、身近にある季節のものでいい。そのまま焼いたり、スープに浮かべたり、ソースをからめたりと決まりもない。いわばトレンティーノ=アルト・アディジェ州のお好み焼きで、噛みしめるほどに素朴な味わいが染み出て静かな気分となる。

メインは珍しいところでロバ肉はいかがだろう。北イタリアではよく食されるロバ肉は、牛と馬の間に近い味わいだ。キャベツの甘みとともに赤ワインで煮込んだ、「タブローネ ロバとサボイキャベツの赤ワイン煮 ポレンタ添え」は、そのおいしさを知る格好の料理だ。

サービスもスマートで自然派ワインも充実している。ほかでは味わえない、非日常の楽しみをぜひとも満喫してほしい。

* * *

▼マッキー牧元のおススメのお店
神谷町『ダ・オルモ』(※予算一人8000円~10000円)
 => http://www.da-olmo.com/
この続きは、プレミアム会員になるとご覧いただけます。
現代ビジネスプレミアム会員になれば、
過去の記事がすべて読み放題!
無料1ヶ月お試しキャンペーン実施中
すでに会員の方はこちら