【第81回】 ECBによるQE政策の実現可能性はいかほどか?
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ユーロ安がユーロ圏経済の回復に寄与している

3月に入って、遂にECB(欧州中央銀行)による量的緩和(QE)政策が実行された。今回のQE政策は、「来年前半には名目4%成長、及び2%のインフレ率を実現することが十分可能」なレベルのQE政策であると考える(詳細は「第75回 ECBの量的緩和政策がユーロ圏経済にもたらす効果とは?」参照のこと)。ただし、これは、「もし、『月600億ユーロの国債購入』を来年9月まで続けることが可能であれば」という大前提があってのことだ。

このECBによるQE政策の思惑もあってか、ユーロは他通貨に対して大きく下落している。そして、ユーロ安によって、このところのユーロ圏経済は、底打ちから回復に転じつつある。例えば、ユーロ圏全体の2014年10-12月期の実質GDP成長率は、前期比年率換算で+1.3%となり、2013年1-3月期までのマイナス成長、そしてその後のゼロ近傍の低成長から脱しつつある。

その中で回復を牽引しているのは、設備投資と輸出である。12月の貿易統計によれば、輸出金額は前年比+8.1%の大幅増となった。そして、次第に回復感が顕著になりつつある輸出に牽引されて、設備投資も回復傾向にある。生産指数は依然として低下傾向で推移しているが、GDP統計をみると、3四半期連続で在庫水準が低下しており(特に2014年10-12月期の低下が著しい)、在庫調整が急速に進んでいる姿がみてとれる。このまま輸出の回復が続けば、在庫調整も終了し、生産拡大のステージに入っていく可能性が出てきた。

このユーロ圏経済の回復を牽引しているのは、ドイツとスペインである。同時期(10-12月期)の実質GDP成長率はドイツが+2.8%、スペインが+2.7%であった(どちらも前期比年率換算)。これは、フランス(+0.3%)、イタリア(-0.1%)とは対称的である。ドイツやスペインは、他のユーロ加盟国に先駆けて、生産や設備投資も回復、そして、雇用環境が改善している(完全失業率の低下)。また、消費(小売売上高や新車販売等)も回復している(自動車購入の軽減税制の効果もある)。

このドイツやスペインの回復が、明らかに昨年半ば以降のユーロ安が寄与している。ユーロ安を梃子とした輸出拡大が、製造業の在庫調整を進捗させ、生産増から設備投資拡大、そして雇用改善が消費拡大へと経済の好循環を生み出している。繊維(アパレル)、機械、自動車、化学等の製造業の中には比較的高い国際競争力を有している産業が散見されるイタリアも、ユーロ安の恩恵から輸出は回復傾向にある。

このようにユーロ圏経済は、昨年半ばから進行してきたユーロ安の恩恵が次第に広がっている。

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