どちらが本物? 2つの伝記に描かれたスティーブ・ジョブズの人物像

今週、米国で発売された新たなスティーブ・ジョブズ氏の伝記(要約はこちらを参照 http://www.fastcompany.com/3042432/the-steve-jobs-you-didnt-know-kind-patient-and-human)が大きな関心を集めている。

現アップルCEOのティム・クック氏をはじめ、生前のジョブズ氏をよく知っている同社幹部陣がこぞって同書を絶賛。一方で、2011年、ジョブズ氏が他界した直後に出版され、世界的なベストセラーとなった『スティーブ・ジョブズⅠ、Ⅱ』(ウォルター・アイザックソン著、講談社)を、彼らはこきおろしている。一体、どうなっているのだろうか?

●"Apple Opens Up to Praise New Book on Steve Jobs, and Criticize an Old One" The New York Times, MARCH 22, 2015

アップル幹部陣の過剰な反応

今週発売された話題の新ジョブズ伝は、『Becoming Steve Jobs: The Evolution of a Reckless Upstart into a Visionary Leader』(Brent Schlender、Rick Tetzeli著)。共著者である二人のジャーナリストは生前のジョブズ氏を取材した経験があるとともに、同書の執筆に先立ってクックCEOらアップル幹部陣にも改めてインタビューし、彼らの目から見たジョブズ氏の人物像を描いたとされる。

同書はその内容以前に、一種複雑な注目のされ方をしている。つまりクックCEOらアップルの幹部陣は、前述のアイザックソン氏の『スティーブ・ジョブズ』を口を極めて罵る一方で、これと対比する格好で、今回出版された『Becoming Steve Jobs』こそ、ジョブズ氏の本当の人となりを描き出した真のジョブズ伝だと主張しているのだ。

〔PHOTO〕gettyimages

たとえばクックCEOは「(アイザックソン氏のジョブズ伝は)ジョブズ氏の評判に、とんでもないダメージを与えた。そこに描かれている人物は、私がいつも一緒に働くことを喜びとしてきた(本物の)ジョブズ氏ではない」と痛烈に批判。ジョナサン・アイブ氏も最近、米ニューヨーカー誌とのインタビューの中で「あの本に対する私の評価は最低だ」と述べるなど、アップル幹部陣はこぞって同書に手厳しい批判を下している。

一方、今週発売された『Becoming Steve Jobs』に対しては、同じくアップル幹部の一人であるエディ・キュー氏が「実に素晴らしい作品で、ジョブズ氏の人物像を正しく捉えている。これこそ正真正銘のジョブズ伝として、あらゆる人に推薦できる」と絶賛。クックCEOをはじめ他のアップル関係者も、こぞって同書を推奨している。

一体、この2冊は何がそれほど違うのだろうか? また、どちらがジョブズ氏の本当の人物像を描き出しているのだろうか?

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