原因は、「人事労務制度の改革について」と題されたA4サイズ2枚の社外秘文書だった。
<生き残りをかけた構造改革を提案します>
こうサブタイトルが付されたその文書には、「今後、長期にわたり放送収入は低迷することが予想され」るとして、「現時点で将来に向かって何らかの総額人件費の抑制策を実施せざるを得ません」とある。
vol.1 はこちらをご覧ください。
そこで提案されているのが、今年7月から人事制度を一新するという構造改革案だ。新制度で給与水準はどう変わるのか。同社の中堅社員が解説する。
「入社10年目、30歳前後で社員の大半は事実上、昇給が不可能になるということです。40代以上は現在と同じ水準の基本給が維持されますが、職務手当の廃止で月給は実質ダウン。かつてテレビ局社員の生涯賃金は4億円と言われました。それを1億円から1億5000万円下げて、一般の上場会社並みにするというのが、経営側のプランのようです」
日テレが賃下げで揺れているころ、テレビ朝日では会社側への要求と回答をめぐって「ストライキ突入」が取り沙汰されていた。

ストの目的は「コンテンツの質の低下につながる制作費削減の阻止、及び構内スタッフの雇用・待遇の改善」。
「春夏闘闘争委員会」は「各自の職場でストライキを成功させるため最終確認せよ」と全組合員に檄を飛ばして対決を煽ったが、ストは3月24日の設定日を迎える前日に回避された。
「去年は赤字決算でしたが、今年は黒字の見込みです。夏のボーナスも本給の3.66ヵ月プラス諸手当と、昨年に比べて大幅アップになりました。それを受けてのスト回避。毎度のことながら、ポーズだけでしたね」(テレビ朝日中堅社員)
それでも最盛期に比べると見劣りする水準での妥協だった。背景には広告収入の減少がある。電通の調べによると、テレビの広告費は5年連続で減少し、'09年は前年比89.8%の1兆7139億円だった。
景気悪化だけが原因かというとそうではない。民放連が1月28日に発表した見通しでは、今年度の地上波テレビの営業収入は昨年度比で1.8%の減少。つまり、最悪期は脱したものの、いまだ下げ止まらず、構造的な不況に苦しんでいるのだ。「もはや若者たちはテレビを見ない」と指摘するのは、マスメディアに詳しい立教大学教授の服部孝章氏だ。
「今の若者はテレビをつけていても、友達と携帯電話でメールのやりとりをしていたり、ゲームで遊んでいたりする人が非常に多いんです。『ながら視聴』というよりも、テレビは単についているだけ、という感じになっている。テレビを見るにしても、ハードディスクに録画してCMは飛ばして見る。いずれにしてもテレビへの広告出稿が増えることはないと思います」
TBSはストに突入!
それでもフジテレビ、日テレ、テレ朝は、売上高は横ばいもしくは微減となるものの、最終黒字を予想している。目も当てられないのが、昨年4月に行われた過去最大規模の番組改編で大コケし、キー局の"負け組頭"になったTBSだ。'10年3月期決算で同社は32億円の純損益を計上する予定だ。
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