現代新書
AIは人間の「創造性」を凌ぐのか
あらためて考える「人間の存在価値」

自動運転車、ドローン、ロボット兵器、雇用・産業構造、医療・介護、芸術……。「自ら学んで進化するAI(人工知能)」を備えた次世代ロボットは、従来のビジネス・モデルを覆すという。その一方で、AIを作りだした人類が意図したのとは全く違う方向へと、AIが発達してしまう危険性も指摘されている。最近、巷で囁かれる「異常な発達を遂げたAIが暴走して人類を破滅させる」といった懸念は、この点に起因している。また、「AIが人間の雇用を奪う」との予想もある。かつてはSFに過ぎなかった、これらの危険性が、今や現実味を帯びて語られるようになった。著名な理論物理学者のスティーブン・ホーキング氏やマイクロソフト共同創業者のビル・ゲイツ氏ら、先見の明のある有識者が次々とそうした警鐘を鳴らしているが、「本当のところ」はいったいどうなのか――。いま話題の書『AIの衝撃――人工知能は人類の敵か』(講談社現代新書)の著者・小林雅一氏に話を訊いた。

単に危機感を煽るのではなく、冷静な議論と理解のために

さっそくではありますが、このたびAIの衝撃――人工知能は人類の敵か』を上梓された動機・目的から教えてください。

小林 AI(人工知能)といえば、最近になってようやくテレビでも時々取り上げられるようになり、わりとみなさんも関心を持ち始めていて、だいぶ浸透してきた感があります。ところがこれまで、その取り上げられ方というのが非常にセンセーショナルであるように感じていたのです。

たとえば、「AIを搭載した次世代ロボットによって、私たち人間の雇用が奪われてしまうのではないか」とか「へたするとAIが暴走して人類が滅亡してしまうのではないか」といった具合に、みなさんの危機感を煽る内容に偏る一方、最新AIの本当の実態があまり伝えられていない(伝わっていない)ことが不満でした。

つまり、そもそもAIとはどういうしくみで、どういう性格を持ち、どれくらいの性能があるのか……といった実態を詳しく説明しないまま、ただ単に危機感を煽っているようなところがあったわけです。そういう中で、「本当はこれくらいの能力があるんだよ」「将来的にはここまで成長する可能性がある」「だからこそ、そういう脅威というのは本当なんだ」あるいは「そんなに心配する必要はないんだ」ということを冷静かつ詳細に、しかもわかりやすく解説することができたらと思い、書き進めました。

ちなみに、本書のサブタイトルでは、「人工知能は人類の敵か」となっています。そうしたいま世間に抱かれている危惧や不安をまったく無視していては、この本を執筆した本来の動機や目的は果たすことはできません。「実態」をぜひみなさんにお伝えしたかったので、本書では世の中に広まりつつある危惧や不安についても触れた次第です。

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