金融・投資・マーケット
ドル高の流れが変わる可能性が高まった背景
イエレンFRB議長のコメントからは、利上げが予想より遅くなる可能性が覗えた  photo Getty Images

米国の金融政策を決める連邦公開市場委員会(FOMC)は、3月の会議で景気判断を下方修正すると同時に、委員会メンバーの金利見通しも引き下げられた。昨年12月時点のメンバーの政策金利予想の中央値は1.125%であったのに対し、今回は0.625%に低下した。これを受けて米国での利上げ期待は後退し、一時、ドルは対円で大きく下落した。

FOMCは先行きの見通し=フォワードガイダンスを、「労働市場のさらなる改善と中長期的にインフレ率が目標の2%に達すると合理的に考えられる場合、利上げを行うことが適切」と修正した。今後、インフレ率の動向が金融政策に与える影響はより重要になるだろう。

新しい先行き見通しの真意

FOMCの会議前、“辛抱強くいられる”という文言の削除は利上げ期待を高めると考えられていた。実際にこの文言は削除されたものの、会議後の声明文などをよく吟味すると、今回のFOMCの声明は基本的に景気を慎重に見る=ハト派的な内容であることが分る。その為、FOMC後、金利は低下し、為替市場ではドルが下落した。これは、予想よりもFOMCの見解が慎重と解釈されたからだ。

問題は、市場が何に注目してドル高期待、つまり早期の利上げ期待を修正したかという点だ。景気への基調判断の下方修正、委員の金利予想の低下はその一部だろう。加えて、フォワードガイダンスを修正し、目標インフレ率の達成を政策判断に加えた点も重要だ。

FRBは原油安等を受けて足許のインフレ率が低下し、労働市場等の改善により中長期的には目標水準の2%に回帰すると繰り返し指摘している。原油価格を見る限り、インフレ率は低位に推移しやすい。そのため、新しいフォワードガイダンスは中長期的な低金利環境を見越している可能性がある。

エネルギー価格の下落が消費を支えているという指摘があるが、FRBが注視する個人消費支出は増加していない。短期のうちにインフレ率が目標水準に達するという期待を抱くことは難しい。これを市場に認識させることが、新しいフォワードガイダンスの真義といえるだろう。

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