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「みなさまのNHK」が「オレさまのNHK」になった日 籾井会長は正月早々、公用車で私用ゴルフに出掛けていた

森 功(ノンフィクション作家)

数々の失言で公共放送の信頼と品位を著しく損なってきた籾井勝人NHK会長に、今度は公私混同のコンプライアンス問題が浮上した。官邸や側近たちに見放され、罷免されるのも時間の問題かもしれない。

1本の告発電話

「籾井会長がプライベートゴルフに公用車を使っている」

2月下旬、NHK社内に1本の電話がかかってきた。電話を受けた職員は、瞬間、その内容を飲み込めず、どう扱えばいいものか戸惑ったという。だが、それは目下話題のキャスター人事よりも、大きく局内を揺らすことになる。

NHKの看板報道番組である『ニュースウオッチ9』のメインキャスター交代が、内外で話題を呼んでいる。

「ときに政治的発言も辞さなかった大越(健介)さんの後任は、河野憲治報道局国際部長。政治色が薄く、官邸からすればコントロールしやすい人物です。さすがに官邸サイドもキャスター人事までは口を出していないかもしれませんが、昨年暮れに唐突に決まった人事なのは間違いない。NHK局内が官邸や安倍応援団たちの意向を忖度しておこなった人事でしょう。籾井勝人新会長就任以来、常にそんな空気が局内に流れています」(NHK報道局デスク)

籾井は三井物産副社長や日本ユニシス社長を歴任し、昨年1月にNHKの会長に就任。新会長の選任にあたり、首相官邸や安倍シンパの財界応援団が奔走したというのが定説になっている。

「政府が右と言っているのに我々が左と言うわけにはいかない」とぶち上げた昨年の就任会見をはじめ、数々の放言・失言伝説の持ち主だ。民主党議員に過去の言動を突っこまれ、顔を真っ赤にして怒鳴っていたのは、記憶に新しい。

そんな失態続きで危なっかしい公共放送の会長。ここへ来て新たな問題が発覚した。それが冒頭の電話である。

簡単にいえば、民間企業ならまだしも、国民の受信料を遊びのためのハイヤー代に使っていいのか、という内部告発である。公私混同、失態続きの自覚のない鈍感会長ここに極まれり、というほかない。

内部告発のあった籾井会長のゴルフプレイ日は、今年の正月2日だった。場所は東京都小平市にある「小金井カントリー倶楽部」だ。同クラブは'37年(昭和12年)にオープンした日本でいちばん古い名門中の名門のゴルフ場である。会員数445人限定、田中角栄が通ったことでも知られる。

NHKの会長ともなればメンバーであっても不思議ではないが、プレーした1月2日は、休業日明けの初打ちだった。接待ゴルフならまだしも、プライベートなのに、局の車で往復。その事実をつかんだ関係者が、NHKの総合リスク管理室に電話してきたのである。NHK職員によれば、総合リスク管理室とは、「NHKの内部通報制度に基づいて置かれている目安箱のような内部告発窓口」らしい。