ワイドショーは、週刊誌やネットの実名報道を批判する前に、少年法と自らの報道姿勢を再考すべき!
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ワイドショーによる週刊誌やネットに対する空虚な批判

長崎県佐世保市の女子高生や名古屋大生、さらに川崎市の定時制高校生と未成年者が容疑者となった殺人事件が続いた。3事件をテレビはもちろん報じているが、一部ワイドショーは週刊誌報道やネット情報のあり方について、厳しい批判を繰り広げた。

佐世保の事件のネット情報について、あるワイドショーのキャスターが語気を荒げたのはのは2014年7月30日のことだった。

「ネットの情報が、ここまで報道と差があっていいのか?」
「法律的になんとかできないもんだろうかって考えますけどね」

同じような発言は以後の2つの事件においてもあった。一部のキャスター、コメンテーターは、テレビ報道と基準が違う週刊誌、ネット情報を糾弾した。とはいえ、そのテレビも報道の足並みがそろっている訳ではない。

佐世保の事件の場合、途中から被害者の名前も匿名にした局があった。加害者の父親の弁護士という職業を「土地の有力者」というような表現に留めた局もある。亡くなった加害者の母親は地元民放OGで、やはり土地の名士の一人だったが、系列局のワイドショーはその事実を伝えていない。

ワイドショーが3事件の未成年者の実名を伏せたのは少年法の通りで、良識ある判断だろう。だが、家庭環境や生育環境の肝要な部分まで伏せてしまった番組もあるのはどうかと思う。類似犯罪の防止、社会全体が未成年者の犯罪や更生について考える材料として、情報提供しても良かったのではないか。被害者側遺族や市民の知る権利もある。そもそも何のための事件報道なのか?

猟奇的な殺害方法や少女の事件前の異常な言動ばかりを伝えるだけでは、被害者遺族はやりきれないだろう。同じような悲劇が繰り返されないために役立つとも思えない。第一、少女の更生の一助になるとも考えにくい。

キャスターとコメンテーターの週刊誌やネットへの批判が空虚なものに感じてしまうのは、テレビだって、これまでの未成年者の容疑者をすべて匿名にしてきた訳ではないからだ。1968年、19歳の少年による連続ピストル射殺事件が起きた際には、この少年を実名で報じた。

その8年前、60年に17歳の少年が元社会党委員長・浅沼稲次郎氏を刺殺すると、やはり実名で報道。過去の両事件では匿名とせず、最近の3事件は匿名で報道しているが、その違いについて理由を説明したキャスターやコメンテーターはいない。

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