現代新書
名物国際スカウトが特別寄稿 ホーナー、ペタジーニ
ヤクルトの助っ人に〝アタリ〟が多いのはなぜか

実はバースはヤクルトに入団する予定だった? ウチのチームはどうしていっつも「ポンコツ」ばかりなのか?――マートン、ゴメス、バレンティン、エルドレッド、呉昇桓、サファテといった期待の選手から、バース、カブレラ、ローズ、マルカーノ、クロマティ、バッキー、スタンカなど往年の名選手までを分析・解説した、『プロ野球 最強の助っ人論』(講談社現代新書)が刊行された。著者の中島国章氏はヤクルトや巨人に所属し、ラミレス、ホーナー、ペタジーニなどを日本に連れてきた〝敏腕国際スカウト〟として知られている。同書には球界の知られざるエピソードのほか、なぜヤクルトの外国人選手に〝アタリ〟が多かったのか、その舞台裏が詳細に明かされている。はたして「成功する選手」と「ダメ外国人」を分ける18の判断基準とは? 日本に「向いている選手」と「向いていない選手」の見分け方とは? 本記事は、ワンランク上のプロ野球観戦術を身につけるだけでなく、「脅威の人材発掘力」の秘密にも迫った『プロ野球 最強の助っ人論』著者による、特別寄稿である。

君はホーナーを見たか?

私が読売巨人軍を60歳で定年退職してから、すでに2年強の月日が経ちますが、毎年、この季節になると必ず想い出すのがプロ野球の開幕です。あの球音が響きわたるグラウンドが無性に懐かしく感じられるとともに、つい、そわそわしてしまうのです。

南海ホークス(現福岡ソフトバンクホークス)での通訳のアルバイトを経て、1973年、ヤクルトアトムズ(現東京ヤクルトスワローズ)に社員として採用された後は、通訳や渉外、広報などのほか、外国人選手の調査・獲得、契約交渉を担当する国際スカウト、国際部部長として、約32年にわたりさまざまな経験をさせてもらいました。そして、私のわがままをヤクルト球団に聞き入れていただき、2005年、巨人軍に国際部参与として〝移籍〟。残りの野球人生を捧げました。

当時を振り返ると、ゆっくり眠ることができなかった夜がまず頭に浮かびます。何千万円、何億円もかけて獲得し、4月からはチームの中心として働いてもらわなければ困る貴重な戦力が、はたして無事来日し、元気良く練習に挑み、開幕を迎えてくれるだろうか――。それまでにもし選手が家族のために手料理を振る舞い、包丁で指を切ってしまったら。車で移動中に追突され大けがをしてしまったら。あるいは、選手の家族が重篤な病気にかかってしまったら……。あれこれ考えるときりがなく、この目でその姿を確認するまでは心配でたまらず、まったく安心できなかったのです。

プロ野球 最強の助っ人論
著者= 中島国章
講談社現代新書/本体価格800円(税別)

◎内容紹介◎

◆序 章 ベンチで勃発していた監督vs.助っ人「殴り合い」寸前の一大事:2015年注目の新戦力/日本プロ野球史上最悪の外国人選手/ホーナーの衝撃 ほか
◆第1章 日本に「向いている選手」と「向いていない選手」の見分け方:マグワイヤが日本では通用しない理由/バースがヤクルトのユニホームを着ていた可能性 ほか
◆第2章 「成功する選手」と「ダメ外国人」を分ける18の判断基準:エルドレッドが大化けしたワケ/重要なのはバレンティン、ゴメスのようなパワー/マートンにもある「活躍する外国人打者の共通点」/サファテを強く推薦しなかったワケ ほか
◆第3章 なぜヤクルトの助っ人は「アタリ」が多いのか:巨人に「ポンコツ」が多かった背景 ほか
◆第4章 外国人選手が活躍するための「もうひとつの条件」:ラテン系選手が日本に合う理由/言葉と家族の問題をどう乗り越えるか ほか
◆第5章 「史上最強の助っ人」とメジャーで活躍する日本人の条件:野手で通算成績が断トツなのはあの選手/先発では二人が双璧だが ほか

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いまとなってはすべてがいい思い出ですが、正直申し上げるとやはり国際スカウト時代が一番苦しく、つらい日々の連続でした。プロ野球選手としての経験がない私に国際スカウトが務まるのか――。松園尚巳オーナーの鶴の一声でその役目を言いわたされた直後から、気が動転したのを今でもハッキリと覚えています。なにせ異例ともいえる人事と、これまでに経験したことがなかったほどの重圧。手始めに何をすればいいか、右往左往してしまうような状態でした。

そうした中、ボブ・ホーナーという現役の大リーガーを獲得したのが、国際スカウトとしての私の最初の仕事でしたが、これが思わぬ大収穫。ヤクルト本社の株が飛ぶように売れ、オーナーから褒められたところまでは良かったのですが、しかしその後、ホーナー並みの成果をなかなかあげられなかったのです。

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