堀尾正明「雑談術」【第7回】
「女性脳」の会話が世界とあなたを救う

NHKアナウンサー時代、夏にアテネ五輪開会式の実況をつとめ、その冬に「紅白歌合戦」の総合司会をやるという、よく考えるととんでもない偉業を成し遂げたのが、現在「Nスタ ニュースワイド」(TBS系)や「土曜朝イチエンタ。堀尾正明+PLUS!」(TBSラジオ)でおなじみの、キャスターを務める堀尾正明さん。インタビュー相手の本音を引き出すことに定評のある会話の名人が、「おしゃべりの極意」「人たらしの会話術」を著名人の豊富なエピソードとともに伝授する短期連載、その最終回です。1回目はこちら
堀尾正明さん

近年の脳ブームで、「男性脳・女性脳」という分け方がよく言われるようになりました。この脳科学の視点からの行動学は実に面白い。脳を詳しく研究することによって自分自身を知るための有効な分析ができると思います。

私が担当しているラジオ番組で、脳科学者で医学博士の中野信子さんと話をする機会がありました。中野さんのお話は示唆に富んでいて、ずーっとうかがっていると、今までの自分の行動のひとつひとつの理由がわかるような気がしてじつに興味深い。

中野さんによると、われわれすべての行動は脳の働きに左右されていますが、男と女では、決定的な脳の作りの違いがあるといいます。

わかりやすい例で言うと「性欲」の違いです。性欲をつかさどる中枢は、男性は女性の2倍だそうです。だから男はこの中枢に影響を受けやすいのです。

たとえば、性ホルモンにテストステロンというのがあります。これは性欲を満たしたいという願望を起こすもので、視床下部からその分泌を促すよう命令が出て、精巣で作られています。このテストステロンを男性が女性の10~20倍持っているので、男性は女性よりも「エッチをしたい」という気持ちになりやすい生き物らしいです。

ことほど左様に男性脳と女性脳の違いはたくさんあります。

会議が面白くないのは男性脳のせい

男性脳の特徴をひと言でいえば「空間の把握や分析を司る部分が発達した論理脳」。

女性脳の特徴は「コミュニケーションを重視する共感脳」。

たとえば、何か商品にトラブルがあり、さっき買い物をしたデパートにクレームの電話をしたとします。女性は的確な問題の解決を提案されるよりも、話をできるだけ長く細かく電話で聞いてくれた担当者を優秀なスタッフと思うそうです。

一方男性は、すぐ問題を解決するための手立てを示すスタッフを優秀だと思います。つまり女性は、問題を解決するよりも苦しい状況やその思いを誰かに聞いてほしいという、感情の充足を求める脳を持っているということなんですね。

会社で言えば、男性脳は結論まで一直線に向かって話すのは得意で、会議などでのプレゼンには向いているけれど、脱線した会話や雑談に弱いところがある。

女性脳は目的に向かって理詰めに話すプレゼンには向いていないけれど、話題があちこちに飛んでも同時並行的に会話を進めるのが得意です。

もちろんこれは脳科学の話で、女性でも論理的な話が上手な脳を持っている人はたくさんいます。ただ経済活動を支える現実社会では、男性脳的な能力が重用される傾向にあります。

多くの企業の場合、会議は退屈で、面白味に欠けるものです。会議自体がルーティーン化して 結論に向かって進むことだけが目的となりやすいことが、その一因でしょう。

これは、心理学用語で「キャナリゼーション(水路づけ)」と言うのですが、土の上を水が流れるとき、何度も同じところを流れているうちにそこがだんだん深くなり、いつも同じ道を通ってしまうように、ヒトの脳も同じことをくり返す傾向にあることを言います。

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