堀尾正明の「雑談術」【第6回】
就活面接でもよく出る「決めつけ聞き」。みんなこれで失敗する

NHKアナウンサー時代、夏にアテネ五輪開会式の実況をつとめ、その冬に「紅白歌合戦」の総合司会をやるという、よく考えるととんでもない偉業を成し遂げたのが、現在「Nスタ ニュースワイド」(TBS系)や「土曜朝イチエンタ。堀尾正明+PLUS!」(TBSラジオ)でおなじみの、キャスターを務める堀尾正明さん。インタビュー相手の本音を引き出すことに定評のある会話の名人が、「おしゃべりの極意」「人たらしの会話術」を著名人の豊富なエピソードとともに伝授する短期連載、その第6回目です。1回目はこちら

相手に何かを聞くときには、その「聞き方」が大事です。聞き方によっては出てくる話も出てこない場合があるし、逆に聞き方が上手だと、想像以上の話が飛びだしてくることもあります。

「オウム返し」になる質問はダメ

梅雨明けの海開きのニュースの中で、浜辺にいる海水浴客の子どもに取材者がマイクを向けるシーンがよくありますね。

「海は楽しい?」「うん、楽しい」
「泳ぐの好き?」「うん、好き」
「また来たいですか?」「うん、来たい」

こうしたやりとりを私は「オウム返しの術」と呼んでいます。

取材者が、相手が子どもということもあって「海は楽しい、泳ぐのは好き、また海に来たい」と決めつけてマイクを向けるという、予定調和の最たるインタビューです。

もっとも子どもが「全然楽しくない」「もう二度と来たくない」と答えたらニュースには取り上げにくいとは思いますが(笑)、でもかえって視聴者は微笑むかもしれませんよね。

お相撲さんへの勝利インタビューにも「オウム返しの術」はよく見られます。

「金星おめでとうございます」
「上手を先にとることは初めから考えていたんですか?」「そうっすね」
「それにしても速い相撲でしたねー!」「そうっすね」
「初めての金星、相当うれしいんじゃないですか?」「そうっすね」
「緊張はしたんですか?」「そうっすね」
「また明日も頑張ってください」「そうっすね」

もっとほかに聞き方はないのかい! と思わずテレビに突っ込みたくなるようなインタビューが多いですよね。

「しょうゆとソースはどちらが好きですか?」
「ソースね」と思わずギャグインタビューをしたくなります。

でもじつは、私たちはこの「オウム返しの術」をけっこう日常的にも使ってしまう傾向があります。

言葉を換えれば「決めつけ聞き」です。相手にオウム返しを期待しているか、または、予想してしまっている聞き方です。

これは正確に言えば「聞く行為」ではなく、相手に「同調してもらいたい」だけの言葉のやりとりにすぎません。よく道端で交わされる「今日は天気がいいですねー」「そうですねー」と同じレベルの会話です。

しかしこの術は、本音を聞けずに終わることが多いのです。

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