堀尾正明アナ「雑談術」 【第3回】 
聞き手の集中力は70秒しか続かない

堀尾正明さん
NHKアナウンサー時代、夏にアテネ五輪開会式の実況をつとめ、その冬に「紅白歌合戦」の総合司会をやるという、よく考えるととんでもない偉業を成し遂げたのが、現在「Nスタ ニュースワイド」(TBS系)や「土曜朝イチエンタ。堀尾正明+PLUS!」(TBSラジオ)でおなじみの、キャスターを務める堀尾正明さん。インタビュー相手の本音を引き出すことに定評のある会話の名人が、「おしゃべりの極意」「人たらしの会話術」を著名人の豊富なエピソードとともに伝授する短期連載、その第3回目です。1回目はこちら2回目はこちら

長すぎる話は相手に悪い印象しか与えない

ニュース番組で観るストレートニュースのほとんどは、1分10秒~1分半の長さにまとめられていることをご存じですか? 

これには理由があります。これ以上時間をかけると視聴者は長すぎると感じ、これ以下だと物足りなく感じるからです。日本語でひとつの情報を伝える場合、1分10秒から長くて1分30秒くらいがいちばんわかりやすいのです。そこでテレビやラジオのニュースは約70秒前後にまとめられているのです。

裏側から言うと、ニュースを観たり聞いたりしている視聴者の集中力は70秒間くらいしか継続してくれないということでもあります。

この「70秒の法則」はニュースだけではなく、ふだんの日常会話にも応用できます。自分の話を集中して聞いてもらいたいのなら、ひとつのテーマを70秒前後で話す必要があります。

「たった70秒では何も伝えられない」と思うかもしれませんが、じつは70秒という時間は決して短くありません。なにしろ私たちアナウンサーは3秒で何を話すかで勝負しているくらいです。3秒の沈黙はテレビでは相当長く感じられるからです。

実際に、生番組では、アナウンサーがアドリブでひと言つけ加えて時間合わせをするのですが、たった3秒の時間でもしっかりとメッセージは伝えることができるのです。

「明日は晴れますが湿気が多いようです。体調管理に気をつけてください」

これも3秒間で言えるコメントです。

ですから、私たちアナウンサーは、70秒という時間があれば、言いたいことはたいてい言いきれると実感で知っているのです。

何かのミーティングのときの自己紹介やスピーチで、司会者から「ひとり1分くらいでお願いします」と言われることはよくあることですし、時間を言われなくても「ひと言お願いします」の「ひと言」は70秒だと考えていいでしょう。

しかし、たいていの人は話が15秒や20秒で終わってしまい時間があまりすぎたり、逆に3分、5分と長く話しすぎたりしてしまうことが多いのです。短すぎれば印象に残りにくいし、長すぎれば飽きられてしまう。

特に長すぎるのは禁物で、悪い印象しか残しません。時間は取り返しがつかないものだからです。とても面白い内容なら別ですが、誰もが、その人の長い話を聞くほど無駄な時間はないと思ってしまうのです。

校長先生の朝礼の訓示や結婚式での祝辞が長すぎて「早く終わらないかな」と心の中でつぶやいた経験はみなさんあるでしょう。でもこれって話している本人には意外にわからないものなのです。