オックスフォード大学・ハミルトン総長からのメッセージ「日本からの学生は大歓迎! 野心的に世界を目指してほしい」

オックスブリッジの流儀も折り返し地点を迎えました。この記念すべきタイミングで、オックスフォード大学日本事務所の方々からお声掛けいただき、2015年2月28日にオックスフォード大学のアンドリュー・D・ハミルトン総長に我々の活動を紹介する特別インタビューの機会をいただきました。

総長ご夫妻に加え、オックスフォード大学日本事務所の方々、ケンブリッジから3名、オックスフォードから5名というメンバーで実施し、アイビーリーグとの比較から、オックスブリッジの社会における役割、日本の位置づけまで幅広いトピックについてお話いただきました。

今回は、みなさんにその内容と総長から日本の学生への熱いメッセージをお届けします。

アメリカとイギリスの学部教育の違い

参加者: 今回は素晴らしい機会をいただきありがとうございます。総長にいろいろお聞きしていきたいのですが、まず、オックスブリッジはアメリカのトップスクールと比較した場合、どのような違いがあるとお考えですか?

総長: なかなか難しい質問だね。私はケンブリッジで博士号をとり、プリンストンで働いた後、イェールに13年在籍して教授や副学長を務めた。その後オックスフォードの総長をしているので、英米の両方を教育をよく理解している。実は、大学院レベルでは、研究環境、優れた研究を追及する姿勢など両国はとても似通っている。もっとも異なるのは学部教育だ。

アメリカは一般教養教育(リベラルアーツ)をとても重視している。大学の最初の2年間は専門領域を学ばず、幅広い無数の教科を学ぶ。科学や外国語、作文技法から体育にいたるまでね。これは多くの科目を学ぶことができるメリットがある反面、必然的に表面的な学習にならざるをえない部分もある。

一方、英国では早くから専門分野に特化することにより、学部段階からはるかに深い専門教育をしている。本質的には、何を学ぶかは実はそれほど重要ではない。各科目はツールにすぎず、教育の目的は「どのように考えるか」を教えることにある。どのように対象を批判し、分析し、自分の考えを形作り、いかにそれを効果的に表現するか。それはチュートリアル制度により支えられている。

オックスフォードの卒業生の例を挙げよう。世界で最も技術的に高度なシステムを持つ都市と言われるロンドンの市長、ボリス・ジョンソンは、ラテンやギリシャなどの古典を専攻した。また、21世紀の複雑な経済について責任を持つ英国財務大臣ジョージ・オズボーンは歴史専攻だ。私は深圳で中国の巨大インターネット企業テンセントのナンバー2であるジェームズ・ミッチェルに会ったが、彼は古代史を専攻していた。どう考えても彼は日々の業務にローマ帝国の崩壊の知識を使っているわけではないよね。でも彼は、ローマ帝国という一つのテーマを深く突き詰めて学ぶことで、どう考え、分析するかという知的な技法を学んで、対象が変わった今もそれを活かしているわけだ。

参加者: サッチャー元首相は化学専攻ですしね。

総長: そうだ。英米のシステムはこのように大きく異なるが、実は不思議とどちらもよく機能している。よく聞かれる「どちらが優れているのか」という質問には私は決して答えない。一言で答えるのは物事を単純化しすぎているし、何を重視するかにもよるからね。