テクノロジーはケーキをどのように変えるのか? お菓子スタートアップ主催の「ケーカソン」レポート

「ケーキの本当の価値を見つけ、奥深さを出してほしい」

3月8日(日)、クリエイティブ・ラウンジ「loftwork Lab」にて、お菓子スタートアップ「BAKE」と創業3周年を迎えるデジタルものづくりカフェ「FabCafe Tokyo」が「Cake-a-thon(ケーカソン)」を開催した。ケーカソンはケーキとハッカソンを掛け合わせた造語。初回となる今回は「バースデーケーキ×テクノロジー」をテーマに、プランナーやデザイナー、エンジニアらが20名参加し、テクノロジーがもたらすケーキの新しい価値についてアイデアを出し合い、新サービスを考案した。

審査員は丸山裕貴氏と伊勢妙子氏(ともに日本版『WIRED』編集部)、松田龍太氏(FabCafe Tokyo マネージャー)、そして長沼真太郎氏(株式会社BAKE 代表取締役)の4名。イベントのはじめには、各審査員がそれぞれの問題意識や期待することを共有した。

まず松田氏はFabCafeでのお菓子×テクノロジーの事例を共有。これまでレーザーカッターでレーザー刻印・レーザーマーキングができる「マカロンFAB」や、3Dデータをもとに材料を流し込み人型のグミをつくるなど、スイーツをハックする事例を生み出してきた。「ポップでシンプル、フォトジェニックな自分だけのものづくりを提案してきました。DIYだけでなく『DIWO(Do It With Others)』。つまり、誰かといっしょになにかをしたり、つくって終わりでなくあげることまで考えることも大切だと考えています」。

続いて丸山氏は昨年、『WIRED』Vol.12の「コーヒーとチョコレート」特集を紹介。投資家が多く集まるブルーボトルコーヒー創業者のインタビューやほかのコーヒーとチョコレートの新興企業を取材するなかで、「テクノロジーを通じてコーヒーやチョコレートをハックしようとしている」ことを感じたという。ここでいうハックは「探求する」という意味合いが強い。スタートアップ企業がサービスのリリース後に絶えずアップデートしていく作業は、コーヒーやチョコレートのハックと共通しているとも語った。そして、「バースデーケーキを探求して本当の価値を見つけ、奥深さを出していくことがヒントなるのではないか」とメッセージを投げかけた。

最後にお菓子のスタートアップとして、テクノロジーとお菓子の交差点で事業を展開する長沼氏。焼きたてチーズタルト「BAKE/ベイク」やクロッカンシュー「ザクザク」、写真ケーキのカスタマイズECサイト「PICTCAKE/ピクトケーキ」を運営。今後、チョコレートのカスタマイズECサイトもリリース予定だという。

北海道で30年ほど歴史をもつお菓子屋に生まれた長沼氏は「洋菓子会社の95%は職人が経営者」と語る。職人が経営者のため新しいことをやりづらい環境は課題だという。そこをビジネスで突破しようと考えた長沼氏は、まずは約1,400億円ほどの市場規模があるというデコレーションケーキ市場に飛び込んだ。最初の通販サイトはうまくいかなかったが、写真ケーキのカスタマイズECサイトに転換。「あくまでテクノロジーをツールであり、課題解決の手段でしかない」ということを強調していた。