企業・経営
空前のセクハラ訴訟に揺れる米国の著名ベンチャー・キャピタル
休廷中に裁判所を出るエレン・パオ氏 〔PHOTO〕gettyimages

アマゾンやグーグルなど世界的なIT企業を、次々と世に出したことで知られる米国有数のベンチャー・キャピタル(VC)、「クライナー・パーキンス(Kleiner Perkins Caufield & Byers)」が空前のセクハラ訴訟に揺れている。

●"Kleiner Perkins, Disrupted" The New York Times, MARCH 9, 2015

●"Ellen Pao to Take Stand at Key Moment in Discrimination Case" THE WALL STREET JOURNAL, Mar 9, 2015

クライナー・パーキンスを訴えたのは同社の元ジュニア・パートナー、エレン・パオ(Ellen Pao)氏。訴えによれば、パオ氏はクライナー・パーキンスに在職中、上司の男性から強制されて(つまり仕方なく)不倫関係に陥った。後にパオ氏の方から、この関係に終止符を打つと、上司は彼女に対する評価を不当に下げたばかりか、最終的に彼女を辞職に追い込んだ。

同じ訴えによれば、この一件に限らずクライナー・パーキンスは、以前から女性に対し極度に差別的、排他的であったという。たとえば仕事関係の重要な会食などには、パオ氏をはじめ女性社員は誰一人として招待されない。あるいは女性社員が自分の功績が男性社員に横取りされたり、男性パートナーから性描写に満ち溢れた小説を渡され、それを読むように促されるなど度々ハラスメントに遭ったという。

個人的な財政状況が背景に?

以上の訴えに対し、クライナー・パーキンス(被告側)は真っ向から反論している。それによれば、「パオ氏が辞職に追い込まれたのは性差別ではなく、彼女個人の性格的な問題による。パオ氏は自己中心的であり、チーム・プレイを重視する当社の社風に馴染まなかったので辞職せざるを得なかった」という。

被告側はまた、パオ氏の個人的な財政危機が訴訟の背景にあるとも指摘している。それによれば、「パオ氏の夫が運営するヘッジファンドが破たんし、夫妻は今、(同ヘッジファンドへの)出資者から詐欺罪で訴えられ、巨額の損害賠償を迫られている。このお金を返すため(クライナー・パーキンスを訴えて)同じく巨額の損害賠償を勝ち取ろうとしているのだ」という(パオ氏は今回の訴訟で、1,600万ドル(約19億円)の賠償金を求めている)。