雑誌

こうやって壊れていくのか みんな心配している安倍総理「ちょっとゴーマンな感じ」

〔PHOTO〕gettyimages

最近、国会中継で安倍総理の言動を目にして「あれ?」と思った人もいることだろう。口をとがらせたり、ひとりでしかめ面をしたり、すぐに怒ったり—。総理の中で今、何が起きているのか。

「日教組」ヤジの理由

「60年以上前の'53年、当時の吉田茂総理がやはり衆院予算委員会で『バカヤロー』と発言した際には、『国会軽視だ』と野党から激しく追及され、衆院解散・総選挙にまで追い込まれました。これがいわゆる『バカヤロー解散』ですが、それ以降、総理自身が国会で不規則発言をした例は寡聞にして知りません。

しかも今回は、総理のヤジが事実無根だったことがすぐに判明した。本来ならば、これは総理の品格と責任を問わざるを得ない問題です。

それにしても、安倍総理も自民党も『絶対多数』にあぐらをかいているのではないか。『何をやっても、最後は数で押し切れる』という傲慢が態度に表れています」

こう語るのは、ノンフィクション作家で評論家の柳田邦男氏だ。

「日教組っ!」「日教組どうするの」「日教組……」

2月19日、衆議院予算委員会。民主党の玉木雄一郎議員が質問している最中、大臣席に深々と腰かけたままで、安倍総理が突然こう声を上げた。大島理森予算委員長が「静かに」と声をかけるが、なおも「日教組」と繰り返す総理。

このとき、安倍総理が口をとがらせ、ニヤニヤと笑う映像を見て、不思議に思った人もいるだろう。なぜ総理は、玉木議員を嘲るように笑っていたのか。そもそもなぜ「日教組」なのか。全国紙政治部記者が解説する。

「新聞などの報道では『総理のヤジは、民主党が日教組(日本教職員組合)関連団体から献金を受けているのではないか、という指摘のつもりだった』と説明されていましたが、実は『日教組』とは、分かる人には分かる符牒のようなものです。

ネット上では今、日教組が『自虐史観を子供たちに植え付けている』とか『学校行事での国旗掲揚・国歌斉唱に反対している』などの『反日勢力だ』という言説が広まっている。

つまり、『日教組!』というヤジには『お前たち民主党は反日勢力の支援を受けているくせに』という意味が言外に込められていたのです。実際、この安倍総理のヤジはネット上では『よく言った』と称賛されています」

インターネットで過激な排外主義的主張を行い、安倍政権を熱狂的に支持する、いわゆる「ネット右翼」の存在が知られて久しい。総理の公式フェイスブックには今も「中国・韓国とは断交しろ」「ゴキブリ在日」などといった彼らの口汚いコメントがあるが、中には今回のヤジを、このように賛美するものもあった。

〈「日教組」とご発言にキーワードをまぎれこませる手法が素晴らしいです〉〈日教組に日本の教育は託せません。民主党の支持団体である日教組は日本に必要ない〉

こうした事実から分かるのは、自分たちの意見に反対する者を悪者と決め付けて罵倒する「ネット右翼」と、総理の考え方がきわめて近いこと、そして総理も彼らと同じくネットを情報源にしているということだ。そして総理は、国会で「日教組」と口にするパフォーマンスが「ネット右翼」にウケるのを期待して、あのような脈絡のないヤジを飛ばしたのである。

だが、こうした理屈がひととおり分かったところで、安倍総理に対して何ら共感は湧かない。むしろそんなくだらないことを、全国民が注目する国会の議場で口に出すなんて、「ちょっとおかしいのではないか」と違和感を覚えるのがマトモな大人の感覚だろう。

この続きは、プレミアム会員になるとご覧いただけます。
現代ビジネスプレミアム会員になれば、
過去の記事がすべて読み放題!
無料1ヶ月お試しキャンペーン実施中
すでに会員の方はこちら