雑誌
ピケティ先生に言われなくても、みんな分かっている 日本は格差が広がり、そして成長しない
格差批判の伝道師・トマ・ピケティ氏〔PHOTO〕gettyimages

その「実感」は正しい

世界的ベストセラー『21世紀の資本』の著者トマ・ピケティ氏は、日本の経済成長率向上には悲観的だ。経済成長率は、生産性の上昇と人口の増加率で決まるが、日本では、人口は減少し、生産性もマイナスが続く。

また、昨年4月から施行された消費税増税が経済に与えた打撃も大きい。早稲田大学教授の若田部昌澄氏は言う。

「消費税率の引き上げにより、GDP成長率は落ち込んでしまいました。'89年の消費税施行、'97年の増税時とくらべて大きく異なるのは、当時は増税に先立つ所得税減税などがあったのに対し、今回はほぼ純粋な増税だったことです。経済全体を痛めつけてしまったため、成長できないのです」

ピケティ氏も、日本経済の停滞による格差の拡大を危惧している。

「日本経済はここ20年、マイナス成長にあります。経済が低成長の社会では、今まで累積していた財産が極めて重要な役割を果たします。すなわち、相続できる者とできない者との間で、格差が拡大する恐れがあるのです」(1月31日の東大講義より)

ピケティ氏は、『21世紀の資本』において、アメリカやイギリスで急激にトップ1%の富裕層の所得シェアが増えていることを問題視している。

日本の場合は、トップ1%の年間所得ラインは約1300万円。これは大手企業の課長クラスの所得に当たり、低所得者との間に深刻な格差はないという意見もある。だが、前出の若田部氏は言う。

「たしかにアメリカやイギリスに比べると、日本は国民全体の富に対するトップ1%のシェアはそれほど増えていません。