READYFOR代表・米良はるかに聞く、激戦市場でのシェアNo.1の取り方

女性起業家の方に経営コンサルタント・多摩大学客員教授の本荘が話をうかがう本連載はこれまで、シーズン1として個人に焦点を当ててきたが、2015年より新たに事業・経営にフォーカスしたシーズン2に入る。その幕開けである第二十四回は、READYFOR株式会社の米良はるか代表取締役社長との議論から、参入が相次ぐ新興のクラウドファンディング市場で国内シェアNo.1の理由を紐解く。

インタビュー本文に入る前に、クラウドファンディングとREADYFORのポジションについて説明をしておきたい。

クラウドファンディングという言葉が、このところメディアで見慣れたものになってきたが、これは、多数の人が少額ずつプロジェクト等に資金を提供することを指す、群衆(crowd)と資金調達(funding)を組み合わせた造語だ。

こうした手法は寄付など昔からあったが、インターネットの普及に伴い2000年代に米国で先駆的なウェブサイトが続々と開設され、市場が拡大してきた。米国首位のキックスターターは、2014年だけで22,252プロジェクトが成立し、529百万ドル(約582億円、110円/$)の支援金を集めている。

日本では、2011年3月発足のREADYFORを皮切りに、現在まで十数サイトが開設され、自治体も着手するに至っている。READYFORが集めた支援金は、2011年1千万円、2012年9千3百万円、2013年2億3千7百万円、2014年5億8千8百万円と、急成長を続けている。

READYFOR は、日本の主要10サイト中で2015年一月末現在・金額ベース市場シェア36%(累計)、38%(単月)で首位を走っている。公開したプロジェクト数1,989(成立910)に対して、支援金は累計10.3億円、単月1.04億円に上る。日本で新たに興ったクラウドファンディングという市場で、多数が参入する中、いかにしてREADYFORは首位を獲得して来たのか?

日本の主要クラウドファンディング単月の月次支援額推移出典:http://visualizing.info/cr/crowdfunding/jptrend/#m=a2

まず市場の創造

日本のクラウドファンディング市場はアメリカとは別です。やり始めると、当初想定していたものとは違うな、ということが分かりました。

まず日本はそもそも寄付文化が乏しい。寄付以外でも、米国はいまでもアメリカンドリームを信じているし、そうあってほしいと思っている。日本では、若者とか、経験や実績のない人がお金を集めて夢を追うのは、サギとか賭け事に近いものだと思われかねません。

プロジェクトをやる側も、トラディショナルな融資とかしか分からない人が多い。人からお金を出してもらうこと対して不安があり、自分がやるなんて考えられないよね、となってしまう。

一方、米国では小中学生が、自分のプレゼンをYouTubeに載せたりするのは当たり前のこと。こういった点でも日本とアメリカでは、文化がずいぶん違うから、見せるストーリーも違ってくるんです。

インターネットでお金を集めることが一般的でない、つまり市場がないところに、新しい概念のサービスであるクラウドファンディングを、それも最初の一社として打ち出していくには、どうするか?

それはもう、地道に市場を広げるしかありません。クラウドファンディングに興味がありそうだ、やってほしい、という人や団体がいたのなら、現場に足を運んで話をしました。どういうサービスで、どんなことが実現できるのか、日本全国を廻ってセミナーを開き、伝え続けました。現在も、プロジェクトが体感できるワークショップを各地で開催もしています。

さらに、どんな小さなプロジェクトでも全力サポートします、というアプローチもしてきました。周りから「ビジネス的にどうなの?」という声も聞こえましたが、とにかくまずは市場を大きくしていくポイントを見つけて実行しよう、と地道にやり続けました。

その甲斐あってすぐに数字が上がった、とは言えませんが、プロジェクトの応募数は年々増えてきていますし、地道な努力を重ねてきてよかったと思います。

色んな人がチャレンジすることに、私たちが歩み寄る。READYFORを活用していただいたプロジェクト実行者は、中学生から86歳までと、幅が広いです。「誰もがやりたいことを実行できるように」というビジョンの実現のために、いまも地道な努力をしています。

有望市場に入るのは、スタートアップの定石だ。クラウドファンディングは世界的に急成長の途上で、これからも成長が予測されている。しかし、日本ではまだ小さい市場だ。日米で一桁どころか二桁の差がある。しかも、先行する米国と日本は大きく異なる。

土壌ができていない日本で、クラウドファンディングという新たな事業を推進するには、市場の創造が先決となる。READYFORは、コツコツと種をまき、市場を啓蒙・教育し続けることで、活路を見出してきた。結果として、現場の実行者とつながり、オピニオンリーダーの役割を果たすことでファンを獲得してきた。

音楽ではインディーズや演歌など、ライブ等の小さな活動を積み重ねて、ついには花開く例があるが、一面それに似たところもある。心をつかみ、実行者と支援者のマインドセットを醸成していったことが今日のREADYFORをつくっていったのだ。

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