特集 開業ラッシュ北陸新幹線
全国で進む道路網の整備
地方創生への期待を運ぶ

北陸新幹線の試乗会で金沢駅に到着した新型車両「E7系」=2月6日

2015年春は全国で大型インフラが、開業ラッシュを迎えている。北陸新幹線をはじめネットワーク網の開業や開通が相次ぐ。鉄道や道路のインフラ整備はヒト・モノの流れを一変させて人口移動の範囲を広げ、地方の行政力や経済力を拡大させる可能性も秘めている。安倍晋三政権が掲げる地方創生にも密接に関わるものだけに、地方の期待も膨らんでいる。

JR長野駅で出迎えた長野県内のゆるキャラたち=2月5日

JRのダイヤ改正に合わせ3月14日に開業するのは、長野から金沢へ延伸する北陸新幹線だ。最速の列車は東京から金沢までを2時間28分で、富山までは2時間8分で結ぶ。運行計画では、全列車の運転本数は計59往復で、東京と金沢を結ぶ列車は速達型の「かがやき」を10往復、停車型の「はくたか」を14往復運転する。それに加えて富山―金沢間のシャトルタイプの「つるぎ」が18往復のほか、長野-金沢間を結ぶ停車型「はくたか」も1往復設定する。東京と長野を結ぶ従来タイプの「あさま」は16往復の運行だ。

使用する車両は、北陸新幹線向けに開発して既に一部が運行しているJR東日本のE7系と、そのJR西日本版であるW7系の12両編成。「かがやき」と「はくたか」に設定する最高級席「グランクラス」(定員18人)は本革張りになっており、ワインや日本酒などのドリンクが飲み放題で軽食や茶菓子も提供する。飲食物には沿線の特産品を使い、専任アテンダント(客室乗務員)が呼び出しなどの要望に応じるサービスもある。

開通による観光業などへの経済効果は大きいとみられる。観光に期待を寄せる石川県と金沢市は、JR金沢駅に観光情報センターをリニューアルオープンさせる。同駅東口(兼六園口)近くに設置し、面積は旧施設の2倍以上の760平方メートルに増床した。内装には県産の能登ヒバや和紙を用い石川らしさを前面にアピールする。催し物を知らせる「催事・展示」、名所を案内する「観光案内」など三つのブースを備え、パネルやパンフレットで見どころを紹介する。カウンターで対応するスタッフも従来の4人から6人に増やすという。

沿線の地元では歓迎ムードがすでに過熱している。開業を控え見学会を2月1日に開いた新幹線富山駅(富山市明輪町)には、約1300人が詰めかけた。富山県やJR西日本によると、午前9時半から整理券を配布する予定だったが、午前8時半に約300人が並んだため配布を1時間早め、受け入れ人数を当初予定の1000人から1300人に増やして対応したという。開業時には各駅で、始発電車の通過に合わせて歓迎セレモニーが準備されている。

石川県求人倍率20年ぶりの2倍超

新幹線開業は、早くも地元へ経済効果をもたらしている。厚生労働省石川労働局が1月末に発表した就職内定率は、今年3月卒業予定の県内の高校生が94・6%、大学生(短大、専修学校などを含む)が84・1%で、ともに過去最高となった。県内企業の求人数は4149人で求人倍率は2・08倍という学生優位の「売り手市場」だった。求人倍率が2倍を超えたのは94年以来20年ぶりという。

同労働局によると、昨年12月末時点で、就職を希望する高校生1999人中、1891人が内定を獲得した。そのうち県内企業からの内定は1786人だった。一方、大学生は就職を希望する6269人のうち5270人が内定を得た。同労働局は「新幹線開業を控え、ショッピングセンターの新規出店や、宿泊客の増加を見込んだ宿泊施設が積極的に求人を行っていることが要因」と分析している。

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