2世帯同居への建て替え増える
老後の不安や介護問題が後押し 新商品も需要喚起[住まい]

野球評論家の東尾修さん、理子さん親子らが登場して行われた2世帯住宅のイベント=東京都渋谷区内で2月10日

国土交通省の「2013年度住宅着工統計による再建築状況」によると、持ち家の再建て替え件数は5万3539戸で、前年度比12・2%増え、08年度以来5年ぶりに5万戸台となった。大手住宅会社が親世代と子世代の2世帯同居をテーマとした新商品が需要を喚起していることや、老後の不安や介護の面から親世代との同居を選択するケースが増えていることが背景にあるとみられる。超高齢社会は住宅のあり方にも変化をもたらしている。

いわゆる親世代と子世代が同居する「2世帯住宅」が本格的に登場したのは1975年という。大手住宅会社「旭化成ホームズ」が発売を開始した。当時は、サラリーマン世帯を中心に核家族化が進行し、さらに都市部への人口流入の増加で、新たな土地を購入することが難しくなったとの理由から二世帯住宅が生まれた。単に同居するだけではなく、お互いのプライバシーを守るという観点から親世帯が1階、子世帯が2階に住み、内部の行き来ができない外階段タイプに限定されていた。

80年代にかけて、各世帯の住戸に全ての生活のための機能を備えながらも世帯間の行き来が自由にできるタイプや、玄関は共有するものの内部は世帯間が独立性したタイプが登場した。その後、90年代に入ってバブルが崩壊し、都市部でも地価の下落傾向が続くと、子世帯が親世帯とは別に住宅を取得する傾向が強まり、2世帯住宅の新規受注比率も低下傾向が続いていた。

しかし、旭化成ホームズによると、09年から再び2世帯住宅の受注比率が高くなる傾向が見られるようになったという。同社は「2世帯住宅が始まった75年に着工された住宅が、40年経過して建て替え時期を迎えているため」と分析している。そのほかに、超高齢化社会を迎え親の世話や介護を抱える人が増えたことや、女性の社会進出が増えたことなどの影響も大きいとしている。

首都圏で高い再建築率

具体的な受注件数は、各住宅会社とも詳細には公表していないが、国土交通省が毎年発表している「住宅着工統計による再建築状況」で、建て替えが増えてきている傾向がみてとれる。

「再建築状況」では新規着工戸数のうち、再構築された戸数の割合を再建築率として統計を取っている。特に持ち家に関しては、大地震に備えて耐震化住宅の割合を促進する意味でも、老朽木造住宅の建て替えは重要なため、同省としても関心の高い数字でもある。この持ち家の再建築率が13年度は15・2%だった。97年から15年連続で下がり続けていたが、11年にようやく歯止めがかかり、15%台で落ち着いている。

都道府県別では、東京都28・5%▽神奈川県23・8%▽埼玉県20・5%――と首都圏が最も高い。近郊の▽千葉県16・2%▽茨城県18・1%▽栃木県19・4%――なども平均を上回っている。さらに、大阪府が18・1%▽京都府15・7%▽兵庫県15・7%▽奈良県17・8%――などと、関西圏で高率となっている。

内閣府の高齢者の日常生活に関する意識調査」などでも、高齢者の住まいに関する意識に変化が出てきている。60歳以上の高齢者に住宅の満足度について聞いた結果、「満足」又は「ある程度満足」と答えている人は約9割に上る。

その一方で、不満なところを聞くと、「住宅が古くなったりいたんだりしている」(16・8%)、「庭の手入れが大変」(10・5%)、「住宅の構造や設備が使いにくい」(7・0%)との声が上がっている。

高齢者が自宅に住み続けたいという意向を持っていることは調査結果から明らかだ。60歳以上の高齢者が身体が虚弱化したときに望む居住形態についての調査(10年)で、「自宅にとどまりたい」と答えた人は66%に上っている。そのうち「現在のまま、自宅にとどまりたい」が46・2%で、「改築の上、自宅にとどまりたい」という人が20・2%となっている。「改築の上で自宅にとどまりたい」とする人の割合は00年調査で8・0%、05年調査では16・5%と調査ごとに増えている。

高齢者問題に詳しいジャーナリストの藤本順一氏は「高齢者対策だけでなく、待機児童対策など、さまざまな問題が家族や家庭のあり方に影響を与えている。経済的な理由だけではなく、物理的な距離に加え、心の距離を縮めることで、家族の絆を再確認しようという流れが出てきている」と話している。

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