【サウジアラビアの大富豪・アルワリード王子(3)】「空飛ぶ宮殿」の自家用ジェット機に大型船舶、メセナ―巨額資産の使い道とは
アルワリード王子が所有したいたプライベート飛行機、ボーイング767機内---〔PHOTO〕gettyimages

1991年に5億9000万ドルの投資でシティバンクを救済したことにより、世界的投資家として注目されるようになったアルワリードはその後、積極的に外国の有名ブランド企業に投資していく。
フランスのジョルジュ・サンクホテル、イギリスのカナリーワーフ、アメリカのニューズ・コーポレーション、ユーロ・ディズニー・・・・・・。

アルワリードの投資手法は「ボトム・フィッシング」と称される。日本語にすると、「底引き網漁」。
底値と見込んだ優良銘柄を大量に買い取り、業績が回復するのをじっくり待つ。
この「見込む」というところが重要だ。年間1000万ドルもの費用をかけ徹底した企業リサーチを行っているといわれている。

アルワリードはよく働く。自家用ジェット機で世界中を飛び回り、たとえ休暇中であっても、新しい情報を得るや、リヤドのキングダム・ホールディングの幹部に指令を出す。
20代から50代まで休みなく働き続け、一代で200億ドルもの資産を稼いだのだ。

自家用ジェット機ひとつとっても常識を超えている。
以前はボーイング767機を使用していたが、2007年にはエアバス社の最新鋭旅客機A380を3億ドルで購入、1億ドルをかけて改装し、プライベート機にしている。
定員850人、ミサイル防衛システムも完備しているこのジャンボジェット機は、執務室、ダイニング室、シャワー室、エンターテイメント室などを備えた、まさに「空飛ぶ宮殿」である。

もちろん、ヨットも所有している。
「キングダム5-KR」号。
KとRは、自分の子供たち、ハレド王子とリーム王女の頭文字をとっている。
ヨットとはいえ、全長八三メートル、ヘリポート付きの大型船舶だ。

「船長によると、34人ほどのクルーが一年中待機しているが、操船中はヘリコプターの操縦士を含めて38人になるという。(中略)1日に1000リットル(250ガロンを少しオーバーする量)の燃料を消費し、最高速度は60ノット、しかも15ノットでほぼ8046キロメートル―大西洋を横断して、また戻ってこられる距離―を快適にクルーズできるのである」(『アラビアのバフェット』リズ・カーン)

このヨットはそもそもブルネイ王国のハッサン・ボルキア国王の所有であったが、その後、億万長者の武器商人、アドナン・カショーギの手に渡り、さらにその後アメリカの不動産王ドナルド・トランプの所有となった。
トランプが維持費がかかりすぎるとして、アルワリードに売却したのだ。

ザータリ難民キャンプ(ヨルダン)を訪れたアルワリード王子---〔PHOTO〕gettyimages

ルーヴル美術館には毎年1億ドルを出資する

アルワリードの家族はハレド王子とリーム王女2人だけである。
2人の母親であるダラル王女とは1994年に離婚している。
2年後、イマン・スデイリ王女と再婚したが1年しか続かなかった。

1999年には、息子と1歳しか違わない22歳のホルードという女性と結婚。彼女は王族ではなかったが、妻としてアルワリードに尽くし、ビジネスの手助けもした。しかし、この結婚も5年で終焉を迎えた。

いずれも、アルワリードの仕事漬けの多忙な生活が原因といわれている。
アルワリードの住む豪邸はリヤドにある。