公立小中の規模・配置基準見直し
文科省統廃合促す手引き作成小規模校の充実策も[教育]

少子化が進み小規模校が増える中で、文部科学省は公立小・中学校の適正規模・配置の基準を60年ぶりに見直した。小規模校の統廃合を含めた教育上の課題解決のための手引きを作り、各都道府県教育委員会などに通知した。学校の統廃合をめぐっては父母や地域住民らとのデリケートな問題が絡み、進まない市区町村も多く、取り組みもさまざまだ。手引きは、統廃合を促す一方で、小規模のまま存続する方策なども示し、地域の実情に応じた「最善の選択」につなげるよう求めた。

公立小・中学校の規模・配置について1947年の学校教育法施行規則や58年の義務教育施設費負担法施行令で12~18学級を標準とし、徒歩や自転車による通学距離は小学校4キロ、中学校6キロ以内を条件としていた。集団の中で多様な考えに触れ、認め合い、協力し合い、切磋琢磨しながら学習したり、社会性を高める――という考えから、小学校では1学年最低2クラス、各学年でクラス替えができ、中学校では同4クラス、全教科で専科教員を配置できる規模となっている。

当時の文部省はこれを基に「公立小・中学校の統合方策について」(56年)「学校統合の手引き」(57年)「公立小・中学校の統合について」(73年)などで方針を示し、各市町村に学校の適正規模・配置を求めてきた。

今回の手引きでは、新たに通学時間について徒歩や自転車だけでなくスクールバスや既存の交通機関を使って「おおむね1時間以内」を一応の目安とすることを盛り込んだ。学校規模については学級数が少ないことにより「体育の球技や合唱・合奏のような集団学習に制約が生じる」など14項目の学校運営上の課題をあげ、特に複式学級については「教員に特別な指導技術が求められる」など5項目の課題を指摘した。

さらに、教職員数が少なくなることによる課題や「集団の中で自己主張をしたり、他者を尊重する経験を積みにくく、社会性やコミュニケーション能力が身に付きにくい」など児童に与える影響なども盛り込み、小学校では12学級以上が望ましいとした。中学校については教員の免許外指導をなくしたり、全ての授業で教科担任による指導を行ったりするためには少なくとも9学級以上が望ましいと、柔軟で充実した学習のために小・中学校とも12~18学級の標準を踏襲した。標準から外れた場合には基本的に統廃合を促し、極端な小規模の場合には事務委託等により市区町村の枠を超えての通学や複数の自治体で協力して組合立のような学校の設立も考えられると提案した。

ただ、今回、離島や山間部など地理的条件や、市町村内に1校ずつしか小・中学校がないケース、学校を地域コミュニティーの核として地域を挙げて学校教育の充実を図ることを希望するような場合には統合しないこともある、と理解を示し、小規模校を存続させる場合の充実策について新たに盛り込んだ。少人数を生かした指導の充実や特色あるカリキュラムの編成など小規模校のメリットを最大限生かし、デメリットを解消・緩和する方策が重要である、とクギをさした。

文科省によると、少子化によって、この10年間で小・中学校の約1割に当たる3000校以上が統合された。2013年の調査では、公立小学校2万391校のうち45・8%にあたる9353校が標準規模に満たない11学級以下で、うち2235校(11%)は5学級以下で複式学級を強いられている。中学校でも9630校のうち51・3%の4942校が11学級以下で、うち174校(1・8%)は1~2学級の超小規模校だった。同省は、今後も少子化は続く一方で、地域コミュニティーの核になっている学校の重要性を勘案し、各自治体の実情に応じた学校づくりを進める必要があるとして、検討を始めた。