JA全中の監査・指導権廃止
地域農協の自主性促し、農業の再生目指す[農協改革]

自民党での話し合いを終え、記者の質問に答えるJA全中の万歳章会長(中央)=東京都千代田区で2月9日

「岩盤規制」の象徴の一つだった農協改革は、全国農業協同組合中央会(JA全中)が地域農協に対して持っていた監査・指導権を廃止するなど1954年の中央会制度導入以来の約60年ぶりの大改革になった。農業を成長産業に転換することを表明している安倍晋三政権が反対勢力を押し切った形だ。今国会に農業協同組合法改正案を提出する。地域農協の経営の自由度を高め、農家の所得向上につながる創意工夫を促すことを目指すが、真の「農業改革」への本格的な対策は今後の課題として残されている。

安倍首相は2月12日、衆院本会議で行った施政方針演説で「農家の視点に立った農政改革」として「何のための改革なのか。強い農業をつくるための改革。農家の所得を増やすための改革を進める」と述べたうえで、「農協法に基づく現行の中央会制度を廃止する」と明言した。

3日前の9日、自民党の農協改革検討プロジェクトチーム(PT)などの会合で、慎重論が根強かった農林族議員が改革案を了承し決着していた。同日の政府・与党連絡会議で安倍首相は「農業、医療、エネルギー、雇用といった分野で改革を実現する法案が骨抜きになることがないよう全力で準備を進める」と規制改革への意欲を改めて強調した。

農村所得の倍増を成長戦略に掲げる安倍政権は、競争の促進がその実現の鍵だと考えている。これまでに、意欲ある農業者に大規模農地を貸し出す「農地集積バンク」発足▽減反廃止――などに着手し、農協改革は一連の集大成として昨年5月、政府の規制改革会議が提起し、大きな議論になっていた。

農協は戦後の47年、農協法に基づいて設立された。農産物販売などの「経済事業」▽貯金の受け入れや資金の貸し付けをする「信用事業」▽保険を扱う「共済事業」――の主に3事業を手掛ける。末端組織の地域農協の上に中央会など都道府県レベル、さらにその上に全農などの全国組織があり、3段階の構造になっている。2012年度の組合員数は農家などの正組合員が461万人、非農家などの准組合員が536万人と、准組合員が上回っている。