【沿線革命026】 東京都が中間整理、BRTが湾岸部の「鉄道不足」を救う!
阿部等(交通コンサルタント)
ブラジルのクリチバでは、都市交通システムとしてBRTが大活躍している。(横浜国立大学大学院 都市イノベーション研究院 中村文彦教授 撮影)

「鉄道不足」の湾岸部へのBRT導入に向け、東京都が発表した中間整理を紹介した上で、さらなる改善策を提案する。

東京都が基本計画に向けた中間整理を発表

さる3月3日に、東京都は「都心と臨海副都心とを結ぶBRTについて」基本計画に向けた中間整理(http://www.metro.tokyo.jp/INET/KEIKAKU/2015/03/70p33100.htm)を発表した。それを受け今回は、中央快速線のサービス改善策を提案する予定を変更し、その内容を紹介し、さらなる改善策を提案する。

【沿線革命011】にて、湾岸部の交通の改善に東京都が本腰を入れていることを紹介した。2014(平成26)年8月に『基本方針』を発表し、『基本計画』の策定に向け、10月に事業協力者として京成バスと東京都交通局を選定した。

ルートとサービスレベル(運行・施設・料金等)の検討が進んでおり、今回の発表はその中間整理で、本文8ページ(表紙等を除く)と別紙1~4からなる。

ルートは環状2号線

ルートは、2019(平成31)年度に全通予定の環状2号線を活用したものとなる。

環状2号線は、虎ノ門-新橋の地下トンネルが2014(平成26)3月に開通し、新橋-豊洲が事業中(東京都第一建設事務所HPより)

環状2号線は、虎ノ門から有明まで信号がほとんどなく、BRTを高速に走行させるのに適している。

新橋-築地は地下トンネル、築地-豊洲は橋梁主体で、信号交差点は非常に少ない(東京都第一建設事務所HPより)

便利なBRT実現に向け方向性は正しい

湾岸部には、時間帯や方向が異なる交通需要があるとする。

「早朝は都心から豊洲新市場への業務交通」「朝は勝どき・晴海地区から都心、また都心から晴海地区等へ向かう通勤交通」「日中は都心と国際展示場間を移動する観光交通や買物交通」「夕方から夜は帰路につく通勤交通」などである。

それに応えて、2019年度~選手村再開発まで(http://www.metro.tokyo.jp/INET/KEIKAKU/2015/03/DATA/70p33101.pdf)は、虎ノ門~新橋~国際展示場方面、勝どき、晴海地区へそれぞれ運行する。

2020年東京五輪後、選手村再開発(住宅団地になる)後(http://www.metro.tokyo.jp/INET/KEIKAKU/2015/03/DATA/70p33102.pdf)は、さらに虎ノ門~新橋~選手村のルートを追加する。

「地域全体の交通について効率的な交通体系の構築を図る」とし、【010】で指摘した「都バスの運行系統を含めて路線再編すべき」の通りとなった。

「需要に柔軟に対応できるBRTの利点をいかして、新たに発生する需要にも的確に対応」とは、【011】に書いた「晴海選手村へは分岐便を設定する。他にも分岐便を設定した方が良いルートもある」に呼応する。

「停留施設について、高層マンションなど大規模建築物のエントランスや公開空地など、道路外の活用を積極的に検討」「多くの需要が見込まれる主要な施設については、BRTが直接乗り入れできるよう、敷地内や建物併設の停留施設の整備」とは、利用者目線では当たり前のことだが、今まで実行例はあまりなく斬新だ。

「車両や施設、道路・交通管理、運賃収受方式、啓発活動など、ハード・ソフト両面からの対策を講じ、速達性・定時性の確保」「全ての扉で同時に乗降」「停留所との段差・隙間のない停車を可能にする技術」「専用・優先レーン等の設定や公共車両優先システムの導入」は、クリチバやソウルで成功しているBRTでは当然に行なわれているが、日本の路線バスでは非常に遅れている。

「運賃収受方式はICカードによる事前決済を基本」は、【011】に書いた「停車時間を最小化するため、運賃収受は車内でなくバス停で行う」に呼応する。速達性・定時性の確保に効果的であると同時に、バス停での数珠繋ぎを防止し1レーン当たりの運行本数を増大させるにも有効だ。

「衝突防止機能、加減速の自動化」「車両相互の通信・自動制御による滑らかな交通流動」は、イノベーションの遅れている路線バスに新しい風を吹かせるものだ。

以上のように、中間整理は、便利なBRT実現に向け方向性は正しい。