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「リスク・ゼロ」でないゆうちょ銀行。預金限度額1000万円を撤廃せよ 

ゆうちょ銀行に預金する人の1人当たりの預金額の上限を1000万円と定めている「預け入れ限度額」を引き上げる議論が自民党内で始まった。

自民党としては、前回総選挙で限度額の引き上げを公約しているので、当然の動きといえる。3月3日に行われた自民党内の「郵政事業に関する特命委員会」(座長・細田博之幹事長代行)の会合では、賛成の声が圧倒的だったという。

郵貯の預け入れ限度額1000万円は撤廃せよ

この動きに対して、近い将来に予定されている株式売り出し後も政府の持ち株が残るゆうちょ銀行は、政府が「暗黙の保証」を与えているという安心感があって、民間の銀行との競争条件が平等ではないので、慎重であるべきだという反対意見が金融庁を中心にあるようだ。

この問題を考える上では、ユーザーにとっての(ゆうちょ銀行のみに限らない)金融サービス利用全体の利便性、金融機関の競争条件、ゆうちょ銀行の株式売り出し、預金に対する政府のリスク負担の可能性など、多くの考慮要素がある。

これらの考慮要素の中から、最も重要な要素を一つだけ挙げるなら、それはユーザーにとっての利便性だろう。

預金限度額が1人に1000万円までというのは、確かに不便だ。ゆうちょ銀行をメインの金融機関として使うことが便利な人は地方を中心に少なくないと思われるが、1人1000万円が制約になり、別の金融機関を探さなければならないなど不具合を感じている人が多数いるにちがいない。

1000万円の枠を使い切ってしまって、タンス預金にしている人もいるだろうが、これは防犯上も、資金の利用効率上も好ましくない。もともと金融機関には「金庫」の役割がある。この基本的なサービスに対しても、金額上の制約を設けることはユーザーにとって不親切だ。

ゆうちょ銀行の預け入れ限度額は、大幅に引き上げないし、正しくは「撤廃」されるべきだろう。

但し、その場合、「国による暗黙の保証」の問題を透明且つフェアに決着する必要がある。

本来なら、政府保有の株式を100%売却して、完全な民間企業になって競争するのがいい。しかし、わが国の政治事情を考えると、直ちにそうすることはは難しそうだ。情けないけれども現実的にそうなのだとすると、以下のように解決を図るのはどうだろうか。

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