【有料会員限定記事】ヴァージングループCEO・リチャード・ブランソンに質問
「成功する起業家の資質とは?」

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【質問】 現在私は19歳、高校3年生ですが、すでに人生の分岐点にいます。起業家になり自分の事業をはじめることにしか、もう熱くなれないのです。アイスクリームショップやメキシコ料理店、洗車業、ソフトウエア会社などの創業を考えてきました。どれもやりたいものばかりです。

のちのちソフトウエア会社を創業するため、現在はコンピューター科学の学位取得を計画しています。しかしヴァージン・グループのように、時が来たら事業を多角化したいとも考えています。

ブランソンさんは、多方面での経験がおありですから、成功のために必要な決定的に重要なビジネスマンの資源とは何かをご存じではないでしょうか? また、私はコンピューターの科学技術の勉強を続けたほうが良いでしょうか。それとも他分野のスキルを磨くべきですか? 最後に、このままブルガリアにはたして居るべきなのでしょうか。それとも海外でチャンスをうかがうべきでしょうか?(ブルガリア/ボーヤン・クシュレフ)

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――ブランソン: 誰もがある時点でどの方向に進むべきかもがくものです。しかし起業家であることの楽しさは、あなたに「こうしろ」と命令をしたり、「この方向でいけ」といった指示をする上司がいないことで、すべてはあなた次第です。

ボーヤンさん、いまあなたは、人生のすべてが何を勉強するかにかかっていて、いったん選択をしたら後戻りはできない、というように私には見えます。しかし現実はそうではありません。ある地区でスタートしたからとか、大学に進学しある学科を勉強したからといって、人生のすべてをそれに賭ける必要はありません。私の場合は大学進学はやめました。その後の高等教育の場は人生経験だ、と考えてきたのです。

それはともかく、コーディングを学ぶことは良い考えです。コーディングはイノベーションの言語です。ソフトウエア会社を起業したいのなら、コンピューター科学を学ぶことも良い考えです。そこで学んだスキルは、現時点では予測もできない場所まであなたを導くでしょう。しかしこれらの教科は、オンラインやパートタイムで履修することも可能です。そんな選択も考えてみましたか?

●まずは事業をはじめてみよう!

この問題は、あなたがブルガリアに留まるべきか、外国に行くべきかという問題にも関係します。私はいつも人々、特に若者には、できれば旅に出るよう勧めています。旅は意識を広げ、新しい文化や変わった問題やより大きなビジネスチャンスに遭遇させてくれます。世も学べて、新事業のアイデアをさらに前進させてくれるような人々に出会う可能性すらあるのです。

しかし、新進気鋭の起業家がやるべき最重要なことは、その段階からはもう抜け出して、実際に新事業をはじめてみることなのです。あなたはすでに、アイスクリームショップやメキシコ料理店、ソフトウエア会社の事業案を考えてみたかもしれません。しかし、ひとつのアイデアに取り組み、そこにすべてを注ぎ込んでみなければ、あなたがその仕事にふさわしいとしても、心底から新事業の面白さに気が付くことはありません。

「この新事業案でチャレンジしてみよう」という気持ちがどうしても起こらないならば、「何に自分は不満なのか」と自問してみましょう。これを変えたいとか、もっとうまくできるはずだ、と思うことをすべてリストに書き出しましょう。それらが不満の原因ならば、自分以外にもその不満に対する変化を望んでいるに違いありません。そこまで考えると、優れたアイデアがひらめく可能性があります。

その選択が自らの気持ちに正直であり、人の真似ではないことを確認してください。ビル・ゲイツがマイクロソフトを起ち上げたのは、パーソナルコンピューターの将来を固く信じたからです。リチャード・リードがイノセント・スムージーを創業したのは、健康的なライフスタイルを促進したかったからです。彼らは他人の成功を見習ったわけではありません。心からやりたいと思うことを行い、世界を良い方向に変えられると信じたからこそやれたのです。これらは成功する起業家に共通する資質です。自分が好きなことだから、困難な時期でも事業を続けることができるのです。

成功する多くの起業家は、リスクを取る能力という点においても共通しています。ヴァージンでも数えきれないほどのリスクを取ってきました。リスクにも取るに値するものと値しないものがありますが、いざという時、自分の直感を信じることができなければなりません。

この段階になると友人や家族の協力が必要となります。彼らにアドバイスを求めましょう。彼らと一緒に考えることで、真のソリューションに到達することができるはずです。あなたがイノベーションを心の底から望み、さらに、新しいアプローチにチャレンジする旺盛な好奇心と産業自体を変えようとする情熱を持っているなら、成功する起業家の資質のすべてが備わっていることになります。

(翻訳・オフィス松村)