マイナンバーと「政治とカネ」

『週刊現代』官々愕々より

辞任した農水族のドン、西川公也氏---〔PHOTO〕gettyimages

2月23日、西川公也農林水産相は、政治資金疑惑の責任を取り辞任した。安倍総理は「任命責任は私にある」として陳謝したが、どうも真摯な反省ではないようだ。

西川前農水相の疑惑の核心は、国の補助金をもらった企業や、団体の関連会社から献金を受けたことだ。外形的には収賄と似ている。西川氏は、補助金交付決定があったことを知らなかったから違法ではないとし、安倍総理もそれを理由にかばっている。しかし、国の補助金交付が決まった栃木県内の木材加工会社から300万円の寄付を受けていた件では、西川氏はその企業の顧問を務めていた。会社の経営情報を知らなかったというのは不自然だし、仮に経営に全く関与していなかったのなら、顧問料は実質的には寄付で、贈与または政治献金になり、その処理についても問題になる。

さらに、当時自民党のTPP対策委員長だった同氏は、TPP交渉直前の'13年7月に、交渉の重要5品目の一つである砂糖の業界団体「精糖工業会」の関連企業から100万円の寄付を受けていた。

西川氏は農水族のドンだ。私の官僚時代の経験では、このような族議員が、献金を受けた企業などのために役所に口利きをするケースは非常に多かった。疑惑の目で見られるのは当然だ。

西川氏は、「いくら説明しても分からない人は分からない」と発言したが、驚いたことに安倍総理はこれをかばい、さらに「すぐに罪があるかのごとく・・・・・・決めつけていくのはいかがなものか」などと、西川氏が被害者であるかのような答弁までしている。また、「選挙の場において、国民からそのこと(説明責任)も含めて審判を受けていく」として、政治資金問題で説明責任を全く果たしていない小渕優子前経産相が先の衆議院選挙の審判で禊を済ませたかのような答弁もしている。

説明責任は自ら果たすものという安倍総理の考え方は、これまでの自民党の実績から言って全く信用できない。

議員が説明できないなら、国民の側から政治資金の流れをより厳しくチェックする仕組みが必要だ。

まず、その大前提として、企業・団体の政治献金を全面禁止すべきだ。企業の献金は、何らかの賄賂性があると考えるのが常識。維新の党が、政党及び政党支部への企業・団体献金を禁止すると決めたが、その他の政治団体などへの献金も全面禁止すべきである。

その上で「マイナンバー」制度を活用して、政治資金の流れを市民が監視する仕組みを作ってはどうか。プライバシー侵害問題などで非常に評判の悪い制度だが、これをまず、政治資金監視のために使うのである。

例えばこんなやり方が考えられる。今年の10月から個人に割り当てられるマイナンバーについて、政治家と政治献金をしたい個人については、銀行預金はもちろん、株式や不動産など全ての資産にマイナンバーをリンクさせ、それをしない個人の献金は禁止する。

もし、政治家が一つでも資産をリンクしなかったら厳罰とする。また、政治資金の収支について毎月全てをネット上で公開する義務を課す。領収書ももちろんネット公開だ。この情報を使って、各地のオンブズマン活動を行っているNPOなどに政治資金の分析を促す。一つ不正を見つけるごとに一定の成功報酬を支払い、その財源は罰金などから賄う。

全国民の資産をマイナンバーにリンクさせなければ不完全だが、これだけでも政治資金の流れがかなりオープンになり、また政治家の脱税も監視できる。

マイナンバーは、使い方によっては国民の味方になるはずだ。

『週刊現代』2015年3月14日号より

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