宮嶋茂樹 第1回
「巨匠に撮られるのはどうも落ち着きません。変な汗が出てきました」

島地 勝彦 プロフィール

シマジ 一発だけだったんですか?

宮嶋 一発だけでした。音ももの凄かったですよ。発射した瞬間はかすかだけど、着弾の瞬間はもの凄い音がするんです。米軍は榴弾を撃ったといっていましたが、ぼくのみたところあれは徹甲弾ですよ。榴弾なら火が出ますが、火が出でいなかった。

シマジ 壮絶な体験ですね。宮嶋さんが何歳のころですか?

宮嶋 えーと、あれは40歳のころですかね。いまの戦車は120ミリが主力で、しかも滑腔砲といってライフルのような溝を切っていない砲口から撃ち出されて、翼が飛び出してくるんです。それがまたよく当たるんです。一発必中です。しかも自動装填ですから1分間に10発くらい撃てるんじゃないですか。『パットン大戦車軍団』の時代みたいなロマンある撃ち方なんていまはありません。

自分も撃たれる危険性があるわけだから、一応研究しておかないといけないと思いまして、富士教導団という陸上自衛隊の教育部隊に行って戦車に乗せてもらったんですが、最新式の戦車にはクラウンと同じような無段階変速機がついているんですよ。だからシフトショックもありません。戦車といえば乗り心地の悪いものの代名詞でしたけど、ずいぶん変わったものだと思いましたね。残念ながら戦車の内部は撮影禁止でした。

ヒノ そもそも自衛隊取材のきっかけはなんだったんですか?

宮嶋 単に好きだったからですよ。ミリオタみたいなもんです。なにごとも実物をみるのは面白いし、戦地で取材するなら兵器の研究もしないといけない。遠くからみて、どちらの戦車か見分けがつかないとダメですから。イラクのT型なのか、米軍のM1なのか。

シマジ T型というのはソ連製ですか?

宮嶋 もともとはそうです。イラクは55と72を持っていたらしいですが、72はほとんどみなかったですね。ロシアの戦車もバカにならなくて、相当強い。しょっちゅう地上戦をやっているから慣れているんですよ。ただ空からは一方的にやられますけどね。米軍は空の優位性を確保してから地上戦に出て行くんで、敵の戦闘機が飛んでいるところには米軍の戦車はいません。あと、いまはヘリコプターが凄い。戦車の敵はヘリです。あれは空飛ぶ戦車みたいなもんですよ。

シマジ 例のオスプレイはどうなんですか?

宮嶋 オスプレイは武器を搭載していないただの輸送機です。戦闘用ヘリは日本にもコブラとアパッチというのが2種類あります。イラクで見たのはアパッチでした。もう「あいつに見つかったら終わり」という世界です。

この間もヘリの実弾射撃訓練を見てきました。むかしは20ミリの機関砲で射撃中は空薬莢がばらばら地上に落ちてきたんですが、アパッチになると30ミリ砲でより強力なのに、空薬莢が収納式で一発も落ちてこないから迫力を表現するのがむずかしくなっていますね。ただ、いずれにしても機関砲の衝撃はすさまじく、射撃中はヘリがその反動でずるずる後退してしまうぐらいです。

シマジ やっぱり戦場に取材に行くにはそれなりの知識がないと危ないんですね。