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 『もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの「マネジメント」を読んだら』(略称:もしドラ)という長いタイトルの本がベストセラーになっている。ドラッカーの経営論を高校野球で使うとどういうことになるか? というユニークな設定に引き込まれ、知らず知らずに経営の勉強ができてしまう青春小説だ。

 その中で印象的なのは、ドラッカーの「顧客とは誰か?を問え」という教 えに従い、野球部の顧客は誰なのか? を徹底的に考えるところ。組織にとって最初にやるべきことは、顧客を定義することなのだ。

はまぐり鍋がリピーターに愛されている「むらた」の、大粒はまぐり

 「グルメ設計塾」も早速この考え方を使ってみよう。もし飲食店オーナーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら、どんなお店になるだろうか? そこからグルメのヒントが見えてくる。

 飲食店で顧客とは誰か? が明確に定義されている典型例は、ニッチなエリアに特化して差別化戦略で特定のファンに感動を与えているお店である。

 たとえば、フランスやイタリア、インドなど日本ですっかりお馴染みの料理ではなく、グルジア、オーストリア、ポルトガルといったマイナーな地域の料理を出すお店。

 日本向けにアレンジしないで本場の味を出してくれ、各国から日本に駐在する人たち、そしてそれぞれの国のファンに愛される。評判のお店もいくつか存在する。

< 東京にあるインターナショナルにニッチな料理を出す評判のお店 >
●グルジア料理 「ガンバルジョ!」(ぐるなび)
●オーストリア料理 「カーウントカー
●ポルトガル料理 「マヌエル・コジーニャ・ポルトゲーザ

 これらのお店は「顧客とは誰か?」を最初から意識して、経営しているのだ。

 各国料理でなくても、超マニアック料理で顧客とは誰かを明快に定義しているお店もある。たとえば、岩本町にある「むらた」は、はまぐり鍋でリピーターに愛されている。大粒のはまぐりが、味噌味の鍋に入ったシンプルな料理は、他にはない逸品。

 赤坂にある、「コム・ア・ラ・メゾン」はフランス料理のお店だが、フランス南西部アキテーヌのランド地方の料理に特化している。アルマニャックの品揃えも豊富で、名物は鴨の心臓の串焼き。ちまたのフレンチレストランとは一線を画す、エッジの効いたお店である。

 顧客とは誰か? をしっかり問いかけて経営しているお店はスタンスが変わらない。マニアックなお店というのは、食べやすく日本風にアレンジしたりするものだが、この手のお店にはそれが無い。アレンジして広く人気を得ようとすることは、逆に自分たちが対象にしている「顧客」を失うことを意味しているからだ。

 ドラッカーの教えは、高校野球だけではなく、飲食店にも当てはまる。グルメ設計塾読者が行くべきなのは、ドラッカー理論を忠実に実践するお店である。

<グルメの法則 8  
インターナショナルにニッチな料理を食すなら
「顧客」を知り、スタンスを変えないお店を選ぶ


次のページ⇒ こちらの「ドラッカー理論を忠実に実践するお店」もおすすめです

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