ドイツ
予防接種の義務化は「個人の自由に対する国家の干渉」なのか!? ドイツでの麻疹流行の背景と、伝染病をバカにできない理由
〔PHOTO〕gettyimages

ドイツで義務付けられている予防注射はペットの狂犬病のみ

ドイツで麻疹(はしか)が流行っている。ベルリン(人口340万人)では今年に入りすでに500人が罹患し、死者まで出た。これ以上の感染を防ぐため、今週、ギムナジウムが1校、学校閉鎖になった。

麻疹は、予防注射さえすれば克服できる伝染病だ。21世紀の今、ドイツという世界に名だたる先進産業国の首都で、麻疹が流行しているというのが信じられない。しかし、2年前、すでにその兆候は出ていた。2013年、私は本コラムで麻疹のことを一度書いている

ドイツでの麻疹患者は子供だけでなく、大人も多い。今年最初の6週間で、すでに去年1年間の罹患数を超えた。流行の原因は、予防接種をしていない人間が増えているからである。WHOによると、麻疹が大流行にならないためには、全体の95%の人間が予防接種を受けている必要があるそうだが、ドイツは現在、2度の予防注射を済ませた人間が92%と、安全圏に届いていない。

アメリカでは全州で麻疹の予防注射が義務だが、宗教上の理由で拒否することが認められているため、予防注射をした人の割合は90%前後というのが実態だそうだ。日本でも散発的に患者が発生するが(年間200~300人)、大事に至らないのは予防接種率が高いからだという。

ドイツでは、予防注射の費用は医療保険から給付金が支払われる。しかし、麻疹に限らず、予防注射はいっさい義務ではない。麻疹の予防注射は1973年よりずっと推奨されてはいるが、実際に受けるかどうかは本人の自由である。ドイツで義務になっている予防注射は、犬や猫の狂犬病だけだ。

他のEU加盟国では、それなりに予防注射の義務がある国が多い。しかし、ドイツと並んで、スイスとオーストリアでも任意のため、EUのこの一角には麻疹の免疫を持たない人が少し多いのかもしれない。

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